育児休暇、かなり取得しやすい世の中になってきました。

お恥ずかしながら、私も数年前に育児休暇を取得し、なんやかんやありまして今はフリーでライターなんかしています。当時は、それなりに珍しかったこともあって、貴重な体験ができました。
どうせなので、私の経験を世に還元しようと思い、情報をまとめました。
30代男性の育児休暇体験談
まずは、どうせなら私の体験談からの学びを共有しておきます。
育休体験の学び
記事がだいぶ長くなったので、学びの部分だけは抜粋しておきました。
- 育児休暇は即申請する
- 期間は最低でも半年と伝える
- 男性の育休取得は物珍しいが悪いことではない
- 育児体験を社会に還元する
- 育休は儲かる
育休取得を目論む男性諸君、及びその伴侶の方々の役に立てば幸いです。
育休申請は秒速で申し出る
まず、学びその1。仮に取得を悩んでいる場合でも、「取得する」方向で話を進めましょう。仮に取得しなかった場合の面倒よりも、圧倒的に「やっぱり休暇を取る」方の段取りの方が面倒です。
噂になるくらいの珍しさではある
私は看護師でした。なので、女性に対しては深い理解のある職場です。ですが、男性の育児休暇の取得率は微妙なところです。

正確な取得率は把握していませんが、男性が育児休暇を取得すると「ちょっとした噂」が出るくらいには珍しいところです。

歴代○人目の男性看護師の取得者だね
とか声をかけられる感じですね。なので、みんな「育児休暇取得に興味はある」けど、「自分が撮れるものではない」と思っているのが正直なところかな、と思いました。
自分が半年間を希望した理由
これは、シンプルに「私自身が休みたかった」からです。育児がしたいのはもちろんありましたが、子供が生まれてから仕事と家庭のペース配分がつかめなくなり、うまく眠れなくなってしまいました。

仕事でもミスが続き、それなのに増えていく(任されていく)業務量に耐えかねました。看護師ならわかると思うけど、子育てする人に「看護研究」とか任せるなよ、とか思うよね。
退職覚悟で育休申請した
なので、いわば「ギブアップ」という意味合いで、仕事辞めるくらいなら思い切って半年間、休んでしまおうと思って育児休暇を取得しました。

なので、男性の育児参加を向上させたい、とか高尚な思いがあったわけではないのです。
職場が半年を3ヶ月に減らしたわけ
- 新人育成期間と被る
- マンパワー不足
- 人事の男性の育休は「そんなに必要ない」という考え
- 長期育休取得という前例を作りたくない
表立って言われたのは「君がいなくなる穴を埋める新人の育成フォローをしてからお願いしたい」という感じでしたけど、大きな理由は4つはあったと思います。
私としては、そのころは精神的に病んでたこともあって追加で3ヶ月働くことになるのは負担に感じましたが、こんなブログ発信とかで副業でがっぽりとかになってない時期だったので、「仕方がないかな」と泣き寝入りした次第です。

ただ、普通に考えて、一人前になるのに1年以上かかるのに、それをフォローし始めたらキリがないわけで。。。
職場の心配はしない
学びその2。職場の心配をしても一文の徳にもならん上に、職場は意外となんとかなる。
職場は意外となんとかなる
職場の人に会うと「いや、めっちゃ大変ですよ」と言われましたが、結論としてはなんとかなります。これは他の育休取得者に聞いてもそう。大変にはなるけど、なんとかなるんです。
新人が成長する
人が少なくなると、なんやかんやで穴を埋めるように人は動きます。
私は、仕事に関してはYesマンなところがあって、依頼されるとOKしやすいのですが、そんなこともあって私は何かと部署の厄介ごとを抱え込みやすかったのですが。
抱え込んでいた仕事を放出したところ、若手スタッフのスキルが上がったと報告を受けました。なんじゃそら。
例年に比べて劇的に新人の育成スピードが上がった我が病棟、つまり育休取得が新人育成を促進させたと言っても過言ではない。
人事の反省点にもつながる
むしろ、こどもが生まれた時点で、仕事に対する配分は大幅に落ちることは予測できることなんだから、さっさと手を打った方が全体としてはラクになる、ということ。

師長も観念がついたのか、人事に補充分の人材を申請して、私なんかよりも数万倍働く人を補充できたので病棟としては大助かりだったみたいですよ。
男性職員のために人事は動かない
女性の場合は10割が育児休暇に入るので、「妊娠」の時点で人事は動きます。男性の場合、妊娠した報告の際に「育児休暇を取得する」と伝えても人事は動きません。

何度も育休取得したいって伝えたんですよ。なのに、人員補充の段取りは一向に進まないばかりか、病棟から看護師を出す悪手を打つという。。。
ある意味、そのせいで私も余分に働く必要が出てきたから、人事采配としては成功したのかもしれませんけどね。
育児休暇で成長する
この辺りは、育児休暇のメリットでお伝えします。
男性社員の育休取得に職場はどう対応すべきか
私の体験談をもとに、会社や病院、つまり職場サイドはどのような対応を取るのがベストなのか、考えてみました。
男性の育児休暇取得率
まず、基本的な知識として、男性の育児休暇取得率をみていきます。
平成30年には6.16%に
高いか低いかは判断の難しいところです。10年前には2%を下回っていたくらいなので、3倍になったとも評価できます。それに、育休取得意外にも育児に参加する方法はあるので、社会体制は少しずつ整っている、と評価できなくもない。

けど、やっぱり少ないよね。
職業別取得率を見る
取得率の高い業種
業種別にみると、宿泊・飲食サービス業が19・92%で最も高く、金融・保険業の18・69%が続いた。電気・ガス・熱供給・水道業が14・51%、鉱業・採石業・砂利採取業が13・94%と高かった。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190605/dom1906050010-n1.html
- 宿泊・飲食サービス業:19・92%
- 金融・保険業:18・69%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:14・51%
- 鉱業・採石業・砂利採取業:13・94%
高い業種としては、個人的には意外な「飲食サービス」となっています。人材の補充がつきやすいのか、取得希望者は水際まで食い止めて、一部の特権階級の人間が取得するようなシステムができているのかは知りませんが。
あとは、ホワイトカラーと事務関連、不定期な休暇となる業種が高い傾向にあります。
取得率の低い業種
これに対し、最も低かったのが教育・学習支援業の1・89%。建設業が3・34%、運輸・郵便業が4・04%、製造業が4・30%と差が開いた。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190605/dom1906050010-n1.html
- 教育・学習支援業:1・89%
- 建設業:3・34%
- 運輸・郵便業:4・04%
- 製造業:4・30%
そもそもの休みが取りづらい教育、建設・運輸・製造といったガテン系の職種は軒並み低い。
男性が取得する育休期間
私は3ヶ月に減らされましたが、まぁ、それでもかなり長い方だとは自覚してます。
男性は5日未満
育児休業の取得期間は、女性は9割近くが6か月以上となっている一方、男性は、5日未満
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf#search=’%E8%81%B7%E6%A5%AD%E5%88%A5+%E8%82%B2%E5%85%90%E4%BC%91%E6%9A%87+%E5%8F%96%E5%BE%97%E7%8E%87′
が56.9%、8割以上が1か月未満となっている。
むしろ、5日を育休として申請しているのは、いったい誰なのか、と。どう考えても、育休取得率を向上させるためだけの休暇じゃないか。

でも、申請してもらえないよりは、もらえた方が嬉しいよね。だから、波風、立たないよね。
育児休暇の目的が薄れてしまう結果となっています。
育児を身につけるには最低でも1ヶ月
普段から参加していれば、育休期間に頑張ることもないのですが、育休云々でウダウダいう私のような不器用な人間の場合、育児に関するアレコレを自分でできるようになるには、最低でも1ヶ月は必要と考えています。

おむつ交換とかのスキル的な問題もありますが、それよりも育児に対するマインドができるかどうかの方が大事。
会社・企業が取るべき対応
会社・企業側が取るべき対応として思いつくものを挙げてみました。
まずは経営・上司から動く
上述の通り、基本的には直属の上司は「育児休暇をとってほしくない」と考えています。

マンパワー不足の直接的な被害を受けるのは周囲の人たちだからね
そのため、「本気で育休を取得させる」なら、上司・社長・経営者が直接働きかけるべきです。
人事権がある人が動く
人手不足は深刻な問題だし、代わりの人なんて雇う余裕はなかなかないと思います。ですが、仕事量や人員を調整することにはなるわけで、部署だけで解決するのではなく組織全体での対応が必要になります。

直属の上司にできることはあくまでも部署内での調整と、人事への進言。いわば板挟み状態なわけで、直接的な被害を受ける方。
仕事が回らなくなる、職場に黄色信号が出ている証
育休取得に歯止めがかかる理由として、「職場の人手不足」が挙げられます。ただ、これはあなたが育休を取ろうがとるまいが、永遠に解決しない問題です。言い換えれば、あなたが関与する問題ではないし、むしろ一人の人材不足を埋められない会社は、何にせよ破綻します。
そして、残念なことに、意外とあなたがいなくても職場はなんとかなるもんです。前述の通り、良い組織ほど環境に適応する力は高いので、あなたの穴を埋めることが「良い作用」として働く場合もあります。
あなたが頑張って得するのは極々一部
そもそも、雇用はギリギリで回して、なんだったら従業員が少し強く負担するくらいの方が経営はしやすいです(つまり、労働者に負の遺産を背負ってもらった方が会社は利益として計上しやすい)

あえてあなたに負担をかけることで、経営者の懐は潤うわけです。(少なくともシステム上は)
業務の根本的な見直し
また、育休を取得すると、面倒っちゃ面倒なのが「引継ぎ」です。

ですが、この「引継ぎ」を行うことがひとつのメリットであるとも考えられます。
あなたの仕事を「周囲に説明する」機会
育児休暇を取るあなたの抱えている業務を明確化することは、以下のメリットがあります。
- 「あなたの業務」を人に理解・評価してもらえるチャンス
- 無駄な業務を整理できる
- 周囲があなたの分の業務遂行スキルを獲得できる
つまり、あなたの業務を説明することで、本当に仕事が破綻するなら「あなたの評価が高まる」ことになり給料をガツンとあげて貰えばいいと思います。また、周囲が補佐できるようになることは組織にとってもメリットが大きく、「マイナスをゼロ」にできれば、あなたが復帰した分、プラスの作用が大きくなります。
育児休暇を取らせるためにできること
育児休暇は「取らない方が不義理」なレベルまで価値観が変容してきています。しかし、取ろうとしない社員のために、会社はどのように働きかけるべきなのでしょうか。
取りたくない社員だっている
最近は、上司の方から「育児休暇は取りなよ」と声かけをするような雰囲気も出てきています。ですが、「育児なんてするよりも会社で働いていた方がいい」という価値観から男性社員の方がいまいち乗り気ではない場合もあります。

育児は、始めてみると本当に楽しいことばかりですが、他の記事でも述べた通り「男性にとっては初めての作業」が多い上に、「ママを中心に回る育児」はストレスも多い。

職場なら、後輩に慕われてプロジェクトを動かせる有能な上司だったのが、育児になればママの部下で顎で使われるようになっちゃうからね。。。
なので、必ずしも働きかけとして「声かけ」もありがたいのですが、対応はそれぞれの社員の価値観などに合わせて工夫する必要があります。
育児休暇を具体的にイメージさせる
育休、男性は2回に分けて取得できます。これを利用して、子供が生まれてから数週間、まずは「お試し期間」として育児に参加させてみるのがいいと思います。
これはすごく大事で、短い休暇の方が濃度が高く、しかも出産直後の弱っている妻、生まれたばかりの何もできない赤ちゃん、やることは山積している、という状態の方が男性が活躍できる機会が増えます。このタイミングで育児に参加することで、「自分の必要性」を認識し、さらに父性も育まれます。
男性は、赤ちゃんが生まれてからじゃないと「パパ」としての実感が湧かない。接する時間が長いほど、男性にもオキシトシンという愛情ホルモンが分泌されるようになるので愛着形成も進みます。
「職場への貢献」を育児休暇の課題として与える
あまり育児休暇が普及していない職場であれば、中堅クラスの社員に積極的に育児休暇を取らせて「社員として取り組む育児休暇」の課題をあげてもらいましょう。
仕事の一環とすることで、「ライフワークバランスが仕事に偏っている社員」でも育児休暇が取りやすくなります。また、文字通り会社としての課題が見つかるので、どのようなサポートが必要になるのか会社独自の育休マニュアルが作成でき、次の育休者がより充実した育児ライフができるような組織体制を作ることができます。
「働いても給料でない」がいい
「私には自分がやらないといけない仕事があるんで!(すちゃ)」という、間違った方向に意識が高い社員には、「働いてもいいけど、給料は出さないよ」というスタンスでいきましょう。
これは、育休は取るべきものなんだという世間の風潮を実感できていない社員には、「むしろ働かれると迷惑だから空気読め」くらいの対応が望ましいです。家の役割を顧みずに働くことは、その社員のその後のQOLに大きく響きます。
育休ハラスメント対策
職場で育児休暇を取ると伝えたところ、「取るなら出世は諦めろ」というようなことを言われたそうです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/60152?page=2
育休ハラスメント(パタニティハラスメント)は、加害者が「意識的」に行う場合と、周囲が「無意識」に行う場合があります。

直属の上司は育休対応が面倒だから厳しい言葉をかける場合はあるけど、「ジェネレーションギャップ」や「冗談・冷やかしのつもり」でハラスメントになるパターンも多そうですね。
当然、法令違反
ちなみに、パタハラは当然、法律に違反する行為です。
男女雇用機会均等法および育児・介護休業法において、事業主による妊娠・出産、育児休業・介護休業などを理由とする不利益取り扱いを行うことを禁止しています。
被害を受ける可能性は、高い
日本労働組合総連合会が20~59歳の男性約1,000人を対象とした調査によると、職場でパタハラを受けた経験がある男性の割合は11.6%にも上ります。
https://www.somu-lier.jp/column/patanity-harasment/
11.6%の男性がパタハラを受けた経験があると答えています。これ、男性が母数ですから、この中の6%くらいしか育児休暇をとっていないことを考えると、育休取得する場合はもっと濃度が高まりそうです。
意識改革を行わない組織全体の罪
一見すると、理解の薄いハラスメンをおこなう個々人の問題のようでもありますが、これは会社・病院などの組織としての取り組みが行われてこなかった、いわば「職場全体の怠慢」による罪です。
職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!
職場のメリットまとめ
- 人材採用へのアピール
- 職場内の男性モチベーションの向上
- 助成金を活用
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