私は死ぬほど看護師に不向きな人間でしたが、1つだけ、自慢できたことがあります。

夜勤の休憩中は必ず入眠してました!
寝ない派の人も、本当は寝たいけど寝れない派の人も、一度お試しあれ。
夜勤休憩中に短時間だけでも寝るメリット
サーカディアンリズムの関連
夜勤時に仮眠を勧める理由は、みなさんも看護師資格取得時に勉強したであろうサーカディアンリズムまたは概日リズムが関連しています。

インシデントの話
別記事挿入予定です。
夜勤の休憩時間について
別記事挿入予定です。
仮眠のベストな時間
別記事挿入予定です。
1時間だけ寝るコツを伝授
「短時間だけ寝る」ためには、「睡眠のための準備」がとても大事です。職場だとなかなか実行できなくても、家にいる時からできることもあるので是非に取り入れてみてください。
体の準備
体の準備として、
- 「体温」
- 「食事」
- 「運動」
について説明しています。
体温はじんわり下げる
夜勤とサーカディアンリズムの関係については別記事にも記録しておきましたが、深部体温を少し下げるのが睡眠に入るコツであるというのがわかっています。部屋の温度調整では、心地よい温度設定を心がけ、あまり眠れない方に関しては少し低めに設定してみると案外眠れるのでお勧めします。
満腹は避ける
お腹がいっぱいになると眠くなるのは、レプチンというホルモンの影響です。レプチンが持つ「催眠効果」によって眠りにはつきやすくなるのですが、体は「食べ物の消化」にエネルギーを使ってしまうので、睡眠の質が落ちるのです。
休憩時間にお腹が空いたら消化の良い温かいものを
解決策はシンプルで、夜勤のおやつを少し我慢して、寝る前にどうしてもお腹が空いたらがっつかずにスープなどの温かいものでお茶を濁しておきましょう。(お茶でもいいよ)

温かいスープは消化に良いですし、リラックス効果もあるので、休憩時間に入る少し前くらいにスープ(がナースルームでダメならハーブティーなど)を飲んで、休憩時間になったら何もせずに横になれるように準備しておきましょう。
巡回中にストレッチを挟む
簡単な運動を取り入れると、眠りにもいい効果があるとされています。看護師であれば、夜勤巡回などの立ち上がったり歩いたりする際に、少しストレッチなどを取り入れるといいですね。

患者さんに遭遇しても、少し驚かれますが「お疲れ様」と大体は笑って許してくれます。
環境の調整
これは、あえて書く必要もないと思いますが、「病院が入院患者に提供する環境」は、本来睡眠にも良い影響があるものです。ですが、割と自分たちの休憩になると鈍感なのは、看護師特有の自己犠牲の精神でしょうか。
室温調整
サーカディアンリズムの話の時にも少し触れましたが、深部体温が暖かいと覚醒状態、冷たくなると睡眠に向かうという生理作用が働きます。

夏は基本寝苦しいもんね
このため、特に夏場なんかは仮眠の際にも室温調整が重要です。
睡眠に適切な室温
- 夏場は約25℃前後
- 冬場は約22℃前後
冬場は温度変化に注意

寒けりゃいいってもんじゃないよ
冷感が刺激となって目がかえって冴えてしまうこともあります。これは、交感神経が働いて体を温かくするように指令を出すから。冬場、暖かい部屋から急に寒い部屋に入ると、しばらくは眠れなくなるのはこのせいです。
休憩時間中、節電のためにエアコンを切っておくと最初に休憩を取るスタッフが部屋を暖めている間、眠れないなんてことも。病院や施設は基本的に気密性・断熱性に優れているので、中途半端に室温を上げ下げする方がエネルギーを消費します。

エアコンは適温に調整しておくことをお勧めします。
照明調整
照明の調整も重要です。光を浴びると脳は活性化するのが基本です。日光を浴びることで目覚めが良くなることは概日リズムの解説記事でも書きましたが、これから眠ろうとする時には、眠る数時間前から光を浴びる量を調整していくことでメラトニンの分泌が促進し、体は眠る準備を始めます。

夜勤中は、休憩室はもちろんのこと、ナースルームも適度な光量に調整したいところですね。業務に支障が出ない範囲ではありますが。
仮眠中は薄明かり以下

私はADHDの薬を内服するまでは眠れる方だったので、電気をつけたまま仮眠し、「むしろ寝過ごさない」ように注意していたくらいですが。実際に眠れなくなってからは(薬の副作用なので仕方がないといえば仕方がないのだけど)環境調整に注意するようにしてました。
真っ暗闇だと怖い、不安、という方が結構いますが、眠る分には真っ暗闇になれた方がいいと考えます。我々が休めたいのは目と脳の疲労。刺激を少しでも減らすことで脳の休息を促します。
スマホなどのブルーライトは見ない

スマホとパソコンも禁止!
本当のことを言えば、パソコンも見ないに越したことはないのですが、記録をしっかりと書いて、情報収拾できるのは夜勤中くらいですよね。

休憩時間はついついSNSやゲームなんかをしがちですが(私だけ?)、スマホやパソコンのディスプレイから発する光はブルーライト。ブルーライトは、いわゆる日中に浴びる光の色です。

昼間は空が青いのに、夕方赤くなるのは何で?
と子供に聞かれた時に、きっとみなさんも光の波長と拡散について説明したことがありますよね(ない)。

このブルーライトは波長の短い、言い換えると目に刺激の強い光になります。
目からブルーライトが入るとガングリオンセルという視細胞が光を感知して、脳の視床下部にある視交叉上核に情報が伝わります。ここは体内時計の重要な中枢といわれています。ブルーライトの刺激は、さらにメラトニンというホルモンが作られる松果体に伝えられます。昼間、ブルーライトを浴びるとメラトニンの分泌が抑えられて活動が高まりますが、夜に浴びるとブルーライトを含む明るい光を昼と判断し、体内時計に作用して睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されて眠れなくなると考えられています。
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/152.html
防音調整
夜勤の休憩中のルールは病棟によりけりかと思いますが、音の刺激となるものは持ち込まないようにしたいところ。
- 患者のナースコールが聞こえる
- 緊急時のPHSの持ち込み
- テレビはつけたままにする
- 音の大きい秒針付き時計
休憩室の環境は調整できると思いますが、この機会に「PHSも持ち込まない」ルールを作られてはどうでしょうか。看護協会も休憩時間の仮眠を推奨しなるべくナースコール、PHSの持ち込みのないように推奨してたりします。

特に、PHSは「呼ばれたらどうしよう」の不安を掻き立てるので、仮眠にとっては天敵です。
まーそう書きつつ、やっぱり緊急時の連絡くらいはつけるようにしたいよなぁ、とも思うんですけどね。(優柔不断)夜勤って、つい自分だけで解決しようとしちゃうから、助けが気軽に呼べるハードルの低さは必要だと思うんだよね。何かあってすぐに夜勤師長呼ぶのは勇気がいるしね。
カラードノイズで耳障りな音をシャットダウン
ちなみに、睡眠中の騒音対策に、カラードノイズをスピーカーやイヤホンからならす、という解決法があります。
ホワイトノイズとピンクノイズの違い
ホワイトノイズとは、単位周波数帯域に含まれる成分の強さが周波数に関係せずに一定である雑音のことを言います。いわゆる「サー」という単調な音のこと。単調すぎるが故に、脳が無視しやすい音でもあるので周囲の雑音を打ち消して音が気にならなくなるという構造です。
ホワイトノイズは1960年くらいに「集中力を高める効果がある」とされ注目されていたのですが、「脳に悪影響があるかもよ」とする論文も出ています。
In a new review article, Attarha and researchers from the University of California, San Francisco suggest that the background buzz of white noise – which some advocate as a means of lessening the perceived symptoms of tinnitus – could actually be harmful to our central auditory system.
https://www.sciencealert.com/white-noise-doing-something-bad-to-brain-study-suggests-tinnitus-hearing-loss-plasticity-neural
Listening to White Noise Might Affect Your Brain in a Weird Way, Study Suggests
一方のピンクノイズとは、パワーが周波数に反比例した雑音のことです。1オクターブのエネルギーが等しくなる、ということなのですが、ホワイトノイズが平坦なパワースペクトルであったのに対して、ピンクノイズは1/fの揺らぎを持ちます。先ほどよりも濁音の入ったような、「ザザザ」という感じになります。このゆらぎによってリラックス効果があるのではないか、とされています。
音があった方が寝やすい
リラックス効果
音楽CDに人工超音波を付 加した音を呈示した場合、またゆらぎ値の傾き が-1に近い楽曲(グラスハープの音楽CD)を呈示 した場合にリラックス効果が得られるのでは ないかということが示唆された。
睡眠にあった適切な音の研究
実験数が少ないので根拠には乏しいですが、今後の「AIと睡眠グッズ」の発展に役立ちそうな研究。
睡眠段階と強い関係性をもつ心拍や呼吸に 着目し,人の心拍や呼吸に連動した音である個人適応音を聞かせることで快眠を導く睡眠システム
https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?active_action=repository_action_common_download&page_id=13&block_id=23&item_id=970&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
仮眠に使用するなら睡眠用のアイテムを
BOSEの睡眠用イヤホン
ガジェット好きには有名な、スピーカー最大手のBOSEの睡眠のためだけに開発された「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」、ノイズマスキングイヤープラグです。お金があれば欲しいですが、お値段でお察し。
ホワイトノイズ発生機
休憩室に持ち込むだけでホワイトノイズなど、眠りやすい音を出し続けてくれるアイテムです。
心の準備
いい加減、長くなってきましたが、もう一踏ん張りです。やはりメンタルが睡眠に及ぼす影響って、すごく大きいです。精神科ナースとしては、ここは最重要でアンダーライン引きたいところ。
「眠れなかったらどうしよう」からの脱却
少し精神科看護師らしいことを話しますが、不眠における一番の阻害因子は「不安」だと考えています。
不眠が精神的な不安定さを助長し、不安を掻き立てるので余計に眠れなくなる、不眠の悪循環があります。患者の不眠に対する援助方法は別記事にまとめますが、「眠ること」ばかり考えると眠れなくなるので、とにかく体を休めることを優先して、じっと目を閉じて横になっていることが大切です。

目を瞑るだけでも身体は回復します
と、我々は声かけするもんですが、実際に眠れない患者からしたら「それでダメだから看護師に相談してるんじゃないか、いいから寝せてくれ、睡眠薬くれ」になるのは当然です。
睡眠は脳と体の休養
眠るためのイメージ作りは人それぞれかと思います。私は経験上、患者によってアドバイスは変えますが、基本的には以下の点をうまいこと伝えるようにしています。
- 何も考えない
- あるいは不安以外の考え事を与える
- 目は閉じさせる
- 一定時間はベッドから出ないと決める
などを実行できるように声をかけるようにしていました。
ストレスは覚醒ホルモンを増やす
すっと眠れるときはいいのですが、寝れないときは色々と考え事をしがち。これがストレスになるような内容だと、コルチゾールという覚醒に関するホルモンが増えて余計に眠れなくなってしまいます。
不安で眠れないならマインドフルネス

マインドフルネス、少なくとも私界隈では流行っているのですが、みなさん界隈はいかがですか?
マインドフルネスとは、簡単に言えば「瞑想」のことです。方法についてはまた後日に詳細な記事を書きますが、睡眠に良い影響があると報告している研究も多く見られています。

マインドフルネスのいいところは、呼吸や自己の内面に集中することで、上記の声かけの内容が実行できているんですよね。
マインドフルネスの全てを肯定するわけではありませんが、こと睡眠に関してはトライして損はないと思います。
最適な仮眠時間
2時間の仮眠時間を目指したいところです。
休憩時間ノットイコール仮眠時間
これは、日本看護協会のリーフレットにもある通りなのですが、睡眠サイクルとサーカディアンリズムの関係から私も最適と考える時間です。病院責任者の方が(このブログを読むことはないだろうけども)夜勤の休憩時間について考えることがあれば、まず「仮眠は業務上必要な休憩時間」であるとして、最低でも(休憩時間の合計ではなく)仮眠時間だけで2時間は確保できるようにご配慮いただけると(我々看護師が)助かります。
仮眠用にお勧めしたいグッズ
というわけで、だいぶ長々と解説しましたが、あとは安眠グッズあたりをご紹介して幕を閉じたいと思います。9割9分は語り尽くしたので、あとは実践あるのみです。
足浴

就寝前の足浴がいいらしい
よく寝るための工夫として入浴・足浴を実施していると答えたものは熟眠感があると答えたものが多かった。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81005507.pdf
温罨法とマッサージができるアイテム
というわけで、正直エビデンスも不要なんじゃないかと思われるくらいなんだけども、やはり足浴は気持ちいいですよね。とはいえ、足浴用のバケツは病棟から引っ張り出せばいいとはいえ、休憩時間に足浴は難しい。

家でやってください
というわけで、簡単に使えるものをチョイス。
パナソニックのレッグリフレ
私が唯一ちゃんとお勧めできるのは、パナソニックのレッグリフレですね。これ、足もあったまるし足の疲れも(心なしか)軽減するので、看護師には一家に一台、病棟の休憩室にも一台いかがでしょうか。
フットスパもあるのですが、使いまわすのと手軽さからはやはりレッグリフレがいいかなと。
部屋の明かりからシャットダウンできるもの
ベーシックなのはアイマスクですが、装着感がいやという方も多いので、
アイマスク
お勧めとまではいきませんが、スピーカー付きなので前項の「カラードノイズ」なんかをうっすら流して眠るという手はあります。
カバー付き枕
この快眠ドームなら、光だけでなく防音性もあるので、諸々のシャットダウンに効果が期待できます。

突然の師長襲来にも備えられるね!
ブルーライトカット
少し番外編的ですが、夜勤だけでもブルーライトをカットできるものを装着することで眼精疲労を軽減することも。
リラックス効果の高いもの
リラックス方法は人それぞれかと思いますが、こんなのもあるのかくらいの感じで流し読みしてください。
アロマディフューザー
こういうおしゃれなものを紹介できるブログにしたかったね。何がおしゃれって、ディフューザーって言いたいよね。
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