ADHDに天才が多いと聞きました。とりあえず、私は天才ではないので反例は存在するわけですが、実際のところADHDには天才が多いのでしょうか。

ADHDに能力が多い人が多いわけではなくて、ADHDの特性がたまたまその人のライフスタイルに合致するかどうか、が重要ですね。

この「ライフスタイル」が固定化されるほど、生きづらい人は増えてくるわけですが、これからの時代は多様なライフスタイルを認められるようになってくるのでしょうか。
「天才」というのも実に曖昧で、頭がいい人なのか、才能のある人なのか、大物なのか、イノベーターなのか、何を指しているかで解釈も変わってきそうです。
このページでは、「ADHDにもなんらかの才能があるはずだ」と信じて生きてきたけど、ADHD自体はただのディスアドバンテージだということに気づいた筆者が、自身の特性で当たり障りなく生きていくためにはどうしたらいいか、を考えた考察を載せていきます。
ADHDと才能に関すること

まずは、ADHDの得意なこと、不得意なことを把握しつつ「才能ってなんだろ」ということについて書いていきます。
ADHDは天才ではない
最初に書いておけば、ADHDは天才ではありません。
ADHDは特別な能力ではなく、「注意力の欠陥」や「多動・衝動性」を伴う障害です。脳の働きだけを見ればディスアドバンテージとなる思考回路を持っています。これは才能ではありません。
しかし、ADHDの中には成功者と言われる方もいます。歴史上の偉人にも、ADHDではないかと考えられている特性を持っているケースはあります。
他の障害があっても、社会で活躍する方はたくさんいます。ADHDだけがとりわけ成功しやすいということはありませんが、ADHDの特性が社会においては一種のブレイクスルーを引き起こす可能性はあるかもしれません。
天才ってなんだ?
先に、天才を否定するために、天才の定義だけ考えておきます。
天才(てんさい)とは、天性の才能、生まれつき備わった優れた才能(生まれつき優れた才能を備わった人物[1])のことである。天才は、人の努力では至らないレベルの才能を秘めた人物を指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%89%8D
Wikipediaでは上記のように書かれています。天才は、基本的に「努力を超えた存在」である場合で、努力をしないことではなく、努力を前提とした上でも到達できない高みに達した存在、という感じですね。

一般の人が努力をしても到達できないことが、天才の条件とも言えそうですね。

ほとんどの人が、必要な努力量に達する前に諦めてしまうので、努力量でもフィルターがありそうですけど。
成功ってなんだ?
ADHDの才能を考える場合は、「成功できるかどうか」という点も考えておきたいところです。つまり、ADHDという障害を抱えた中でも、自分なりの「成功」を掴めるかどうかが大事なのかと。
成功の形はそれぞれ異なります。私は大学に通って看護師になりましたが、それを成功と呼ぶ人もいます。
私の夢は翻訳家になって家にこもって小説読みながら暮らすことでしたので、看護師になったことでは目的は叶えれなかったことで「失敗」と評価してもいいかもしれません。
つまり、「成功」とは自己評価でしかないと思うのですが、世間的に「あの人は成功したな」というポイントも存在すると思います。
少しややこしいので、ADHDにとっては、「障害を抱えた状態でも、自分の満足する生活ができていること」を成功の及第点としていいのではないか、と思います。つまり、成功のための才能とは、「自分らしく生きて、一定の給与を得るスキル」とも言い換えられます。
ここからは、ADHDにとっての「生きるための才能」についても考えていこうと思います。
ADHDらしい才能とは
序文の通り、ADHDの特性は才能でも何でもありません。
ただ、ADHDの中でも特別に能力の高い一部の人は、歴史的にも重要なピースとなってきた可能性はあります。あれは本当の天才なので、あそこと同列に考えるとややこしくなるのでやめましょう。我々が話をしているのは、平凡な能力で生まれたADHDです。
元々の個人の資質もあるので、ADHDの特性を活かすかどうかは難しいところです。ですが、ADHDの特性がマイナスに働かない方法・働き方は考えられるので、発達障害と付き合っていく上では向き合っていきたいところではあります。
着想の多さと独創性
まず、ADHDの特性による唯一とも言える恩恵は「着想の多さ」だと思います。我々の思考にはまとまりがなく、頭の中は常に何かしらのアイデア・物思い・着想に埋め尽くされています。
これは、ひとつの物事に集中できない障害ではあるのですが、集中する必要のない場面においては有効に働く場合があります。
例えば、看護師の場合は、看護研究というブラックでハードな仕事があります。この看護研究のテーマをとりあえず考える、という点では私のADHDは大いに役立ちました。既成概念に囚われずに「ただアイデアを生み出すマシーン」になったときにはADHDの思考回路は無敵です。

私が思い付いたアイデアは、全て倫理委員会にはじかれましたけどね。世の中には新規発想などを期待していないアイデア出し作業というのもあるのです。
この着想の多さは、我々の正しき行動化を妨げる障害ではありますが、この着想をありがたがるシーンにおいては、ADHDが重宝されるかもしれません。
興味が広がるということ
ADHDは注意散漫です。これは、注意対象の優先順位が決められず、あれこれと目移りするからです。つまり、一般的に集中しなければいけないこと、例えば授業だったり、偉い人の演説だったり、お金を払って入場した映画だったりに対して集中することができないということ。
逆に言えば、誰もが見落とす些細なことでも気になって注目していたり、みんなが見ている方向とは別のところを見て発見があったりすることが、ADHDの注意散漫です。注意対象が適切ではないだけで、何かしらに注意を向けている状態ではあるのです。
ADHDは退屈な作業を続けることはできないので、好きなことでもどこかのタイミングで突然に「飽き」がやってくることはあります。これは、ポジティブに言い換えれば「他のことにチャレンジするチャンス」とも言えます。
見通しの甘さがチャレンジのハードルを下げる
ADHDは行動の優先順位の付け方も苦手です。見通しを立てる、というのは複数の事象を同時に想起して、時間軸の中に並べ替える作業です。この、「複数のことを頭に展開する」ということがADHDは苦手なので、とりあえず思いついたことから着手する傾向があります。
これはどう考えてもマイナス面ではあるのですが、何かにチャレンジする場合においてはハードルを下げてくれる特性だと言えます。つまり、ADHDの我々、あまり失敗のイメージを想定せずにとりあえずチャレンジしちゃうところがあるんですよね。無駄に自信があるというか。
もちろん、失敗イメージが強く印象づいていることに関しては是が非でもチャレンジしません。だから、初めてのことで「何となく楽しそう!」くらいだと割と何でもできる。わからないことに対する恐怖心は少し薄いのかもしれません。
社交性が高い
この見通し問題は、実はADHDのポジティブな人柄として反映されている場合があります。私の場合は人間関係の面倒くささから社交性は低いのですが、ポジティブに生きてこられたADHDサバイバーに関しては、案外、交流が上手な人が結構います。いろんなことにチャレンジし慣れているので、人見知りせずに気さくに話せるADHDは多いと聞きます。
日本の場合は、非言語的な意味合いを重視することがあるので、おしゃべりで思ったことをすぐに口にするADHDは敬遠されがちではありますが、コミュニケーションの量を重視する文化においてはポジティブな側面と捉えてもいいかもしれませんね。
思考の多様性
ADHDは「飽きっぽい」性質もあるようですが、色々なことにチャレンジしていく中で、考え方も多様性を産んでいきます。普通の人が固定観念で考えてしまうところも、独自の価値観・想像力から「違うんじゃないか」と考えることができるようです。
逆に言えば、挑戦することを抑圧した生き方を強いられてきたADHDに関しては、消極思考となってしまい、持ち前の良さが生かされないとも考えられます。ADHD傾向のある子供であれば、型に囚われ過ぎず、失敗を恐れずにチャレンジすることを教えていきたいところです。
引き出しが増える
ADHDはチャレンジの多さから失敗体験も多いのですが、失敗は貴重な体験です。チャレンジした分だけ経験値が増え、思考の引き出しを手に入れることができます。
失敗を認める
失敗が多いということは、失敗に対する対処方法を覚える機会も増えます。我々はどうにも悲観的になり過ぎますが、人生において失敗はつきもの。失敗経験が少ないと「ミスをした際に謝る」という基本的なこともできない大人になる可能性があります。失敗の方法を正しく学ぶことで、次のチャンスにチャレンジできる姿勢が身についていきます。
努力の限界を越える
ADHDは疲労を感じやすいと思われがちですが、これは持ち前の集中力で疲労のリミッターを無視しているからです。好きなことであれば集中して没頭して作業するので、最初の努力の壁を突破する速度は一般の人よりも速いと思います。
好きこそ物の上手なれ、と言いますし、ADHDが好きなものに対する情熱の注ぎ方はなかなかにエネルギッシュです。一方で、2回目の努力の壁に関しては、途中で飽きてしまって挑戦することを辞めてしまいます。ADHDは器用貧乏が結構いるんじゃないかと思っています。
ここはASDとは違うな、と思うところですね。ASDはひとつの世界観の中にいることを好む印象があります。ADHDはざっと世界を見渡したら、次の世界に旅立つようなイメージです。
擬似的マルチタスクの獲得
ADHDはマルチタスクが苦手だと考えられています。これは優先順位と取捨選択が苦手だから。
どんな人でも、頭の中にある計画を白紙にすることは苦手です。ただ、一部の天才的な活躍をする人は、頭の中にあることをすぐに実行し、そしてすぐに忘れます。能力さえあれば、やりたいことをどんどんと手を出していき、興味があるうちは全力で取り組み、興味がなくなれば次のことを始めます。
これはシングルタスクの回転量を上げることで、一見するとマルチタスクを行なっているように見える境地に達している場合です。ほとんどの方はここまでの能力はなく、全てが中途半端に終わって自己嫌悪に陥ってしまいます。ただ、ADHDの特性ゆえに。マルチに活躍する方はいらっしゃるように思います。
制限を受けることで能力が伸びる
ADHDは生まれた時からあるディスアドバンテージです。なにせ、神経発達障害ですから、できないことは歴然としてあります。
ただ、制限があるからこそ、自分にできることを生かしていこう、という道筋がはっきりとしてきます。できないことがわかるからこそ、できることを伸ばす道が選べるのです。
諦めることは悪いことのように言われることがありますが、諦めることで他の道を目指すということは悪いことではないはずです。ADHDの場合は凹凸があるため、それがはっきりしています。できないことはとことんできないからこそ、腹を括ってできることに打ち込むことができます。
ADHDが才能を発揮できる仕事とは?
ADHDの才能の片鱗とは言える要素を抜き出していきました。では、これらを生かす「仕事・職業」といった場面は存在するのでしょうか。
公務員は向いていない
公務員という職業は実際には存在しないのですが、世の中で考えられている「公務員」という仕事はADHDには向いていないと考えられています。
地方公務員に関しては、今後は専門職化していく機運もあるのでなんとも言えないところではありますが、いわゆる「事務職・総合職」のような活発に色々な部署を行き渡って調整役を任じられるような仕事は向いていないと思います。いっそ、営業職などでやることは決まった上で動き回るような仕事ならいいのですが、突発的な対応をひたすら繰り返す公務員的事務職はあまり向いていないと考えられます。

市民との調整役、に関してはやはり一般的な共感力の高い定型発達の方が向いていそうですし、いい意味で割り切って仕事してくれますしね。

ADHDは色々着想してむしろ場を引っ掻き回して想定外のトラブルを持ってきてしまう可能性がある。一緒にいる分には楽しくても、チームワークの仕事を考えるといい方向には進まない場合が多い。
今の看護師の働き方も向いていない
私は看護師でしたが、ミスができない仕事という大きな不向きポイントがある上に、看護師って実は病院内の総合職なんですよね。いろんな部署と連携して、調整役をしないといけない。超マルチタスク型の仕事を要求される中で、ミスをしないという働き方も身につけないといけない。完全に無理ゲーでしたね。
公務員は、専門職募集でもない限りは、自分の仕事は役職と業務に依存します。自分でコントロールできる部分が少ないので、興味・関心の移ろいやすいADHDには向いていないと思います。
専門職が向いている、というわけでもない
少し判断の難しいところですが、私はADHDは専門職にも向いていないと思っています。というのも、専門職はひとつの分野に縛られるわけですから、興味が長続きしない。
ただ、人生は長いので、いくつかの専門職を渡り歩くことで、「自分という専門職」を作り出すことができればかなりの強みになると思います。前述の通り、ADHDは自分の楽しい部分までしか頑張らないので、専門を極める、というわけではない。でも、世の中の大半の人にとって必要な専門知識は十分に身につけられる。これを複数の専門性の知識を学んで、組み合わせていくことで新しい発想が生まれてくる。ADHDの場合は、ひとつを極めるよりは、自分の好きを増やして化学反応を起こした方がいいと思います。
よく言われる「クリエイター」は?
ADHDに唯一向いていると言われるクリエイターは、確かにADHDに向いている仕事だと思います。ただ、クリエイターってのはなんだ、ってのが問題なだけで。
想像/創造することが活かされる仕事
クリエイターというと、創作活動が真っ先に思い浮かんで、例えばライターとかアートに関する仕事が思いつきます。そして、「いや、そこまでの才能はない」と多くのADHDが絶望していきます。でも、実は何かを作り出すことはもっと身近にたくさんあります。
看護師をクリエイターにする
先程、看護師の話をしましたが、本当に看護師が向いていないか、といえば部分的には看護師が向いていると思われる部分もあります。
例えば、患者さんの看護計画。これは非常にクリエイティブなもので、患者の個別性に合わせて最適な計画を考えることは患者さんのライフスタイルを想像/創造することだとも考えられます。実際、問題解決のために話し合いをすると、ADHD看護師からは意見が多く出てくることが多いと思います。
どうしても今の仕事のあり方は、「みんながみんな、同じように仕事をする」ことを基本に構成されていますが、個々の多様性(得意・不得意)を考えて、配分を調整することで、各々の分野・職域での「クリエイター」が誕生してもいいのかな、と思っています。
ADHDにはミスが致命的な「薬のチェック」や「医師からの指示受け」をさせずに、患者の様子を見に言ってもらって気づきを共有していく。こういう働き方があってもいいのかな、とは思っています。
起業が一番手っ取り早い
もっとわかりやすい例で言えば、事業を立ち上げるのはADHDの得意とするところだと思います。
ある程度事業が育って飽きてきたら事業を売却して他の事業を立ち上げていく。ADHDに関してはこういった働き方の方が合っているのかな、と思います。
スモールビジネスでもいいので、自分の好きを仕事に変える。今は、需要を探すのは簡単なので、発想をどんどん売り出していく。これも、ある種の「ビジネスにおけるクリエイター」と言えると思います。

ADHD向けの起業サポートなどは面白そうですね。
ADHDと天才の関連

気が向いたときに充実させていきます。ADHDと天才についての情報をまとめておきます。
偉人とADHD
個人的には、ADHDというよりはASDじゃないか、という方も混じっていますが、こればかりは時間を巻き戻して本人を診察してもらう他ないので、可能性という点で列挙しておきます。
- アインシュタイン
- エジソン
- モーツァルト
- レオナルド・ダ・ヴィンチ
有名人とADHD
自身でADHDだと公言している方、傾向があると発言している方などをまとめていきます。

ただ、はっきりと「診断を受けた」と公表されている方はかなり少ないので、ある程度活躍されると診断も不要なんだな、と。
- マイケル・フェルプス
- トム・クルーズ
- 黒柳徹子
- 小島慶子(タレント)
- 武田双雲(書道家)
- 栗原類(ファッションモデル)
- Fukase(シンガーソングライター)
- 市川拓司(作家)
- 勝間和代(経済評論家)



コメント
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