精神科と心療内科を比較する

さて、ADHDのような気がするんだけど、どこに受診したらいいんだろう?

そんなの、受診する必要もないんじゃないの? 普通に生活しているように見えるけど。

でも慢性的に疲れているような気がするし、仕事でもミスが目立つんだよね。

それなら、心療内科で慢性疲労に効く漢方でももらってみたら?
という会話が本当にあったかどうかは定かではありませんが、「なかなか取れない疲労感」「集中力がなくて仕事にミスが出る」という症状で、病院を受診される決断をされる方はなかなかいないかと思います。

でも、実際に「つらいなぁ」という違和感を覚えている方がいたら、まずは病院の受診をお勧めします。精神疾患ではなくても、実際に身体的なトラブルが起きている可能性もあります。
今回は、そんな時に悩んでしまう、心療内科と精神科どっちを受診したらいいだろう?という疑問に、実体験を踏まえてお答えしていこうと思います。
心療内科は大きなくくりでは「内科」
内科って書いてあるしね。
これだけ聞くと、病気の原因が体なのか心なのかよくわかりませんが、このようなよくわからない症状に対して幅広く治療を行ってくれるのが心療内科です。
身体的な症状を訴える場合は心療内科を検討
具体的に言いますと、人間の精神が大きなストレスに直面すると、「動悸」や「胃炎」を引き起こしたりします。
この場合、もちろん、「胃炎」の治療をしたり「心臓」の検査をしたりする必要があります。
心療内科では、この、身体的な症状や心理的な症状のどちらもフォローしてくれます。
じゃあもう心療内科に行けばいいんじゃね
ぶちくまも最初にかかるなら心療内科だな、と思っていました。
というのも、ぶちくまとしては、「心理的な要因が大きいにせよ、いま軽減したいのは強い動悸と倦怠感」というのがあったからです。
精神科の薬は飲みたくなかったし(副作用強いから)、やはり「精神科に通院している」というのは心理的にも大きな枷になると思っていたからです。
偏見じゃないか、と非難する声も聞こえてきますが、やはり保険とかに入りづらくなるのも現実的な問題です。
その点、心療内科で一時的に漢方などで治療するだけなら、内科としての治療と自分としても腑に落ちるような気がしました。
精神科はいわゆる精神疾患の専門科
精神科が主に扱う疾患
精神科の病院に関しては、精神保健福祉法が適応されるので、入院に際し、切迫して緊急性の高い患者の治療の場合には、法律に則って強制的な入院が可能になったりするのが最大の特徴でしょう。

いわゆる、医療保護入院とか、措置入院と言われるものが、精神保健指定医の診察結果で入院を強制できるものになりますね。
今回は自分で受診行動を起こす方のためのまとめなので、この辺りはあまり詳しくは語らなくてもいいでしょう。
ただ、精神科を標榜する病院やクリニックであれば、おそらく精神保健指定医という、経験と国家資格に裏打ちされた、精神科専門の医師が関わっている可能性が高いでしょう。
少し長くなってしまいましたが、精神科は精神症状を専門に扱い、精神科特有のお薬などの処方にも長けている、場合によっては入院なども検討できる専門科だと考えてみるといいでしょう。
強制入院とか怖くない?
まぁ、怖いですよね。ただ、自分の意思で受診しに行って即強制入院、という可能性はかなり少ないです。すでに精神症状に左右されて警察のお世話になっている、家族も疲弊しきっている、という病状の現れ方でもしてない限りは、患者本人の意思が尊重されます。
あとは、すでに切迫した身体症状があったり、危険行動が危惧される場合に家族同伴で病院に行く場合は、即日入院となる可能性はあります。ありますが、それは本当に入院の必要性があるので、ご理解いただければと思います。
クリニックなんかではどちらも標榜されていることも
治療範囲が重なり合っている心療内科と精神科ですから、病院や診療所(クリニック)ではどちらも標榜されていることもあるでしょう。
いずれにせよ、精神科医は内科的な疾患との鑑別のためにも心療内科的領域についても、深く勉強されている方が多いです。(というかほとんどです)
「通院しやすい」がポイント
なので、標榜科名はあまり気にせず、通いやすい雰囲気のある自分にあった病院や診療所に行ってみるのがいいと思います。
通院しやすいと感じるポイント
- 家から近い、あるいは近所の人に見つからない距離感にある
- 担当医と相談しやすい
- 発達障害を専門としている
- 臨床心理士やソーシャルワーカーなど他職種とも相談しやすい
- 空いてる(人気の診療所はかなり混んでます)

個人的には、適度に空いてて発達障害に理解のある病院がお勧めですね
継続通院の場合だと、基本的は様子を確認して処方継続が治療の基本ですから、サクサク受診できるのも大事なポイントだと思います。
良い精神科医の見つけ方
標榜科を確認する
内科が専門の医者であれば、「神経内科、消化器内科、心療内科」のような併記のされ方が多いかと思います。
この場合、ここのドクターは神経内科を専門にされていますが、診療所などの個人院開設のために幅を広げて、消化器内科や心療内科も見れますよ、という意味合いが読み取れます。
身体症状が気になるなら内科的メディカルチェックも大事
ストレスなどは感じているものの、身体的な症状が苦痛であるならば、何れにせよ内科的な疾患との鑑別が必要となるので、一度、こういった内科系を幅広くみることができる心療内科に行ってみるのがいいかもしれません。
うつなどの精神疾患なら専門医へ
精神科がメインであれば、「心の」とか「メンタル」とか、そういった枕詞をつけて専門性を強調される診療所やクリニックが多いかと思います。
もし、すでに精神的な部分が影響しているであろう要因がはっきりしている症状の治療のためであれば、こういった精神科の専門性の強い病院にかかることをお勧めします。
例えば、家族のアルコール依存や、うつの症状が強くてすでに死にたい気持ちが切迫している、身体は明らかに元気だが普段と違う行動が目立つ、などなど。
まだ動ける状態の摂食障害なら精神科受診が先でしょうね。
受診を嫌がる認知症患者には、内科的な医院で診てもらうのもいい
余談ですが。
もし、認知症の家族を受診させたい、という思いがある場合、認知症患者は、自分の認知機能低下を認めたくない心理が働くことがあり、受診を拒否することが、まぁ結構あります。
そういった時には、精神科もみることができる総合病院や内科への受診であれば受け入れていただけることがあります。
患者さんの実際に訴えている症状(認知症の方は身体的な訴えも多くなることがあります)、例えば「胸がずっと痛いっていってるから、心配だから検査だけ」なんて形であれば、患者も納得して受診できることもあります。
家族から指摘されるのと、医者から言われるのでは、患者さんも受け止め方が変わったりしますからね。
だまし討ちで病院に連れていかれると、家族との信頼関係にも関わるので、診てもらう医者には、そのあたりのケアも求めたいところですね。
ADHDなど発達障害と精神科や心療内科のクリニック
ちなみに、ぶちくまのような発達障害(の疑いがある)場合の診断については、もちろん、どの精神科、心療内科でも診察していただけます。
二次障害の治療も念頭に
現れている症状について、例えば、職場でうまくいかずに発達障害を疑っている、つらいの抑うつ症状、みたいな場合には、抑うつに対する治療をしてくれます。
しかし、発達障害の特性に向き合い、社会復帰を目指して行く場合は、発達障害に特化している診療所やクリニック、病院がいいでしょう。
と、言いますのも、もちろん、一部の発達障害においては、薬剤治療などである程度症状が寛解する場合もありますが、最終的に目指すべきは、自分の特性を理解した上で、自分の障害とうまく付き合いながら社会で生活していくことだからです。
社会サービスも上手に取り入れる
社会支援(精神保健福祉士)や心理教育(臨床心理士)など、あらゆる医療者の力を借りながら、社会に適応できる方法を探っていくことになります。
また、精神科の中でも、発達障害を専門に見てくれる医者っていうのは、結構少なかったりします。(診療報酬、医療加算が取りづらいからか、対象が子供だとクレームが多いからか)
診断結果を得るまでに、診察だけでなく、心理検査なども行っていくため、例えば仕事をしながら合間に受診をしていくと、何ヶ月もかかったりします。
下調べも大事ですし、なかなか時間のかかる、根気のいる治療継続となりそうです。
ADHDでもためらわずにまずは受診を
精神科も心療内科も、診断のためには体の症状にも心の症状にも丁寧に対応してくれます。
つらい症状をいつまでも我慢するよりも、まずは一度受診してみるのがいいと思います。
体調不良も、検査なんかをしてみると、自分でも想像していなかった、思わぬ病気が潜んでいる可能性だってあります。
まずは一度、最寄りの病院に受診してみてはいかがでしょうか。
ADHDと「新型うつ」
最近だと、抑うつ的な症状を訴えて精神科を受診して、発達障害を指摘されるケースが増えてきています。
発達障害の二次的な症状の現れ方として、うつ病のような「抑うつ感」や「倦怠感」、「無気力(アパシー)」のようなものがみられることがあります。
新型うつ自体が非定型的なものなので、関連を指摘するには根拠の乏しいところがありますが、一部の新型うつと思われる症状の中には、発達障害が複合的な要因として考えても良いケースがあります。
そもそも新型うつとは
「新型うつ」という名前が一人歩きしており、その実態ははっきりとはしていないので、
細かい言及については避けますが、「新型うつ」についても、まずは受診が先決でしょう。
新型うつは、仕事はできないほど気分の落ち込みがあるけど、休みになると元気になる、というやつです。しかも、うつ病の薬(抗うつ薬)が効きづらい、という特徴もあります。
新型うつの原因
これを「若者特有の栄養の欠如が原因だ」と話される方もいれば、「PTSDの延長だ」とされている先生もいます。
正直、どちらが正しいかというと、それはもうその患者さんによるのでは無いかと思いますが、いずれにせよ、「遊べているから大丈夫」「仮病の延長」という気持ちで見ていると、不可逆的な認知機能の低下を引き起こす可能性もありますので、注意が必要だと思います。
こちらも、精神科でも心療内科でも診てもらえるので、早めの治療が必要でしょうね。
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