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発達障害とワーキングメモリの関連と、リハビリ・治療・トレーニング

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自身のADHDについて調べているのですが、少なくとも私の場合、どうやらワーキングメモリのバグが起きているようだと実感しています。しかし、いまいち「どうしたら良いのか」がわかりません。

そこで、調べた情報に関してまとめておくので、自分の勉強がてら皆さんの役に立てば幸いです。(今現在は、引用資料を投げ出している状態です。もう少しわかりやすくまとめていきます)

ワーキングメモリに関する基本的なこと
もう少しタイトルは考えますが、ワーキングメモリに関して知っておきたいことをまとめました。特に、子供の教育で悩まれている方、発達障害の支援などに興味がある方には読み応えがあるかと。
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ワーキングメモリに関連する疾患・障害

ワーキングメモリについて調べていると、ADHDのような発達障害だけではなく、あらゆる障害に関与していることがわかります。あるいは支援が必要ない児童であっても、より効率よく学習に臨むことができるようにワーキングメモリの訓練を行い、「教育全般」に活用する方法がないか模索されているところです。

ぶっさん
ぶっさん

まずは、私のADHDやその他の発達障害あたりとワーキングメモリの関連について調べていきます。

発達障害とワーキングメモリ

まずは、関連が強い上に、有病率が10%近いのではないかと考えられている、発達障害からです。

患者数が多い上に、一定数は仕事に就くので、研究しがいのある分野と言えます。

最近は認知度も上がって「治療を期待する」保護者・本人も多くなるので、治療効果を謳い文句に、あらゆる教育・学習プログラムとして商業的な活用も期待される、打ち出の小槌ですね。

ADHDとワーキングメモリ

まず、私自身のこともあるのでADHDから取り上げます。

ワーキングメモリの容量向上を目指したブレイントレーニングが注意欠如・多動性障害(Attentional Deficitwith Hyperactivity Disorder:ADHD)児を中心に実施されるようになった。これらの実践的研究を評価する上でも,ADHDのワーキングメモリの実際について明らかにする必要がある。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ADHDの治療では、ある程度効果のある薬物療法がメインではありますが、ワーキングメモリの活用を治療(トレーニング)として取り入れようとする動きも強いです。

ADHDと脳の活動について

まず、ADHDとワーキングメモリの関連についてお話しする前に、ADHDと脳・神経の活動がどのようにつながっているか、ADHDの基本的なメカニズムについても考えていきます。

ADHDは脳の特定部分の活動が弱くなっているのではないか、と考えられています。脳には不思議がいっぱいで、ADHDに関しても厳密な部位が特定されているわけではないのですが、以下のような意見が出ているようです。

前頭連合野を重視する立場

前頭前野(PFC)は注意の集中・持続・分配・切り替えの機能を持っています。不適切な情動・衝動・行動の抑制に重要な役割をはたしている部位で、ADHDでは右前頭葉の機能低下があることが確認されています。

前頭葉と基底核を重視する立場

ADHDの治療に用いられているメチルフェニデートやアトモキセチンなどの作用機序を考えて、「きっとこの神経伝達物質が関与しているのではないか」と考え、前頭葉と規程核が大事なのでは、とも考えられています。

前頭皮質は「遂行機能系」という役割があり、基底核には「報酬強化系」という役割があります。

遂行機能は「目標の設定や計画性を考え、実行する」という行動の取捨選択を行っています。ここが障害されると、行動が抑制できず、うまく計画通りに動けない、ということが起こり得ます。

報酬回路には島・眼窩前頭皮質・桃体がつくる回路と,前頭前皮質・前帯状回・側坐核がつくる回路があると考えられています。これらの回路が障害されることで、衝動性や注意障害が生じるのではないか、と考えられています。

ADHDの症状と関連があるのが、この部位というわけです。

前頭葉・基底核・頭頂葉・小脳などを含む広範な脳部位の関与を想定する立場

これまでの研究を踏まえると、前頭葉-線条体系の機能障害がADHDの障害を起こしているのではないか、と考えられてきました。加えて、小脳や頭頂葉の形態・機能異常もあるんじゃないか、という報告も増えています。

ADHD群では小脳虫部や頭頂葉の縮小がみられ,これがプランニング,ワーキングメモリ,注意機能,感情抑制,遂行機能などの機能障害と関係している

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ADHDの行動メカニズム

ADHDの各症状は、行動抑制やワーキングメモリ等の主要な実行機能の弱さが原因なのではないか、と考えられています。

実行機能のシステム不全

実行機能を司るとされる前頭葉-線条体(fronto-striatal)のシステム不全により、ADHDの行動的特徴が引き起こされると考えられるようになってきた。この実行機能とは、将来の目標を達成するために、適切に問題処理をこなしていく処理過程のこと言う。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

先ほども「前頭葉-線条体」という言葉が出てきましたが、この辺りがうまく機能しないと、実行機能という「頭の中で順序立てて、計画を行動に移す」という処理が苦手になる、と考えられています。

たぬき
たぬき

ADHDにありがちな、目についたものからやろうとする行動は、この実行機能系のシステムがうまく稼働していない、と考えられるわけですね。

ワーキングメモリと文脈情報の統合によって、現在の状況に対処して最適な行動を導き出し、遂行するための選択肢に関する情報を維持しながら意思決定を促進するトップダウン処理である。

ぶっさん
ぶっさん

トップダウン処理、というのは「全体像を見てから行動に移す」ということ。既にある知識などを統合させて、情報処理などを素早く行うことができることで、人間は情報処理を合理化しているわけです。

らいおん
らいおん

逆に「ボトムアップ処理」というと、細かい部分を作り上げて全体構造を理解する、というもの。文書理解で「単語」をつなげて「文」「センテンス」「パラグラフ」と情報の全体像をいちから作っていく感じです。初期の語学学習なんかはこんな感じですね。

この辺り、後ほど紹介する「ニューロフィードバック」という治療にも関連してきます。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASDは、ADHDに比べると研究数は少ないのですが、ワーキングメモリとの関連を指摘する研究は見られます。

音韻性の容量と視空間性の容量に乖離

土田らは、自閉症スペクトラム指数(AQ)とワーキングメモリ容量との関係を、定型発達成人(大学生)を対象として検討した(土田、室橋,印刷中)。その結果、AQのより高い群では低群よりも視空間ワーキングメモリーの容量が小さかった。他方、音韻性ワーキングメモリーの容量には、差は認められなかった。自閉性障害のある人では、音韻性ワーキングメモリー容量と視空間ワーキングメモリー容量との間に乖離があることが知られており(Williams,Goldstein,Carpenter,etal.,2005)、定型発達の範囲内でもそのような傾向が存在することを示唆している。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

自閉性障害者においては音韻的ワーキングメモリには問題が見られないが,視空間的ワーキングメモリには問題が見られるという報告がある

https://ci.nii.ac.jp/naid/130000428337

別の論文が、同じ研究結果について述べているのだと思いますが、ASDに関しては特徴的なメモリー容量の乖離があるようです。

「音」についての一時記憶は問題なくできるけど、「映像」に関しては記憶するのが苦手、ということみたいです。ただ、ASDに限らず、発達障害は色々と重なる部分があるので、一部の記憶活動の障害だけではなく併発することもあると思った方が良さそうですね。

学習障害

学習障害と言っても、原因が様々なので今回のカテゴリとしては相応しくなさそうではあるのですが、とりあえずはざっくりとまとめます。

LD、ディスレキシア

いわゆる「読めない」学習発達障害であるとされるのがディスレクシアです。こちらは、今読んでいる本によると、大体の部分が解明されてきており、トレーニング法も徐々に確立されてきているとのことですので、注目したいところです。

また別の記事にまとめますが、音韻をうまく頭の貯蔵庫に入れられないのがディスレキシアのようです。言葉などは認知できるのですが、細部の構造がうまく変換できない。

この音韻ループとその処理を行う中央実行部あたりに障害があるのではないか、と考えられていますね。

ディスレキシアをもつ子どもでは、形態的word-formにより焦点化することが要求されると推定された。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

算数障害では視空間記憶が、ディスレキシアでは音韻ループと中央実行部がそれぞれ障害されていた(Schuchardt,Maehler,and Hasselhorn,2008)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

音韻ループに示される短期記憶よりも、注意の統制に示されるワーキングメモリー機能の方が、読み理解と読み流暢さの成長により密接に関連していた。このことは、読み障害の背景に存在する、ワーキングメモリーの実行成分の成長が阻害されるという考えを支持する(Swansonand Jerman,2007)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

読み障害のある子どもでは音韻ループが損傷していたが、視空間スケッチパッドと中央実行部は損傷されていなかった。そして、音韻処理については音韻貯蔵部における損傷が推定された。(Kibby,Marks,Morgan,etal.,2004)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

SLI:特異的言語発達障害(specific language impairment)

勉強不足で、SLIを詳しく知りませんでした。少し追加で調べておきました。

SLIとは
SLI(得意的言語発達障害)と実際の診断名

ICD-10ではspecific developmental disorders of speech and language(会話および言語の特異的発達障害)に相当すると考えられる。表出性言語障害と受容性言語障害の2タイプ存在。幼児期前半に検診などをきっかけに言葉の遅れが指摘される。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/44/3/44_3_204/_pdf

特異的言語障害(Specific Language Impairment:以下SLI)は、言語発達を阻害する知的発達障害や視覚・聴覚といった感覚障害、発声発語器官の運動障害がないにも関わらず、言語能力に著しい制約が見られる発達障害である。

https://www.hakuhodofoundation.or.jp/subsidy/recipient/pdf/10th_hashimoto.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/44/3/44_3_204/_pdf

簡単に言えば、頭や言葉を出す機能には明らかな問題がないのに、言語の発達が遅れてしまう障害のことです。日本語の場合は、特に格助詞や受動態などの文法障害が顕著に現れるようです。

遺伝子障害

発達障害とは少し違うのかもしれませんが、ダウン症やウィリアムズ症候群などで、ワーキングメモリに障害が見られるケースがあるようです。

ダウン症

音韻ループ(音の短期記憶)に障害があり、ダウン症児の言語発達が遅れる原因だと考えている研究があります。音の短期記憶容量が少なく、言葉を再生するために記憶を並べ替えたりするのにも時間がかかる、というのがダウン症のワーキングメモリの特徴だと考えられています。

ワーキングメモリにおいては,特に,音韻的な短期記憶に問題があり(Jarrold & Baddeley, 1997; Jarrold, Baddeley, & Hews,2000; Jarrold, Purser, & Brock, 2006; Kanno&Ikeda, 2002),そのことが彼らの一般的な言語能力の遅れを引き起こしているとされる(Gathercole & Alloway, 2006)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ダウン症児が構音コントロール過程に問題があることが傍証されている

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ダウン症児の場合,構音速度に遅れはないものの,単語が再生されるまでの時間ならびに単語が再生されてから次の単語が再生されるまでにかかるまでの時間が長いことを指摘した。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ダウン症児における構音コントロール過程上の問題は,リハーサルよりもむしろ構音出力時のプランニングにあると言える。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

音韻ループのもう一つの構成要素である音韻貯蔵庫に着目した研究は,ダウン症児が音韻貯蔵庫で一度に保持できる情報の量(容量)自体が少ないことを指摘している。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ウィリアムズ症候群

ウィリアムズ症候群とは

少し手抜きで論文からそのまま引用します。

ウィリアムズ症候群は7番染色体異常により引き起こされる。多くの場合心臓疾患を抱え,聴覚過敏や高カルシウム症などの症状がみられ,認知面においては軽度の知的障害を有する(Mervis & Robinson,2000;中西・大澤,2010)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf
ウィリアムズ症候群のワーキングメモリ

音は大丈夫だけど、視覚的な記憶に関しては特徴的なものがあると。

ウィリアムズ症候群の子どもの場合,ダウン症児で見られた音韻的短期的記憶における問題は,全体的に認められない。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

視空間性の記憶課題を用いた研究は,ウィリアムズ症候群に特異的なワーキングメモリの認知的特徴を示している(Rowe & Mervis, 2006)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ワーキングメモリの治療

ここからは、ワーキングメモリの治療やリハビリテーション、トレーニング方法などをまとめていきます。このページでは疾患に着目しているので、基本的には発達障害児などのワーキングメモリ・トレーニングや治療についての情報になります。

ぶっさん
ぶっさん

もう少し一般的なトレーニングなどは、ワーキングメモリの基本情報というページにまとめました。

ワーキングメモリに関する基本的なこと
もう少しタイトルは考えますが、ワーキングメモリに関して知っておきたいことをまとめました。特に、子供の教育で悩まれている方、発達障害の支援などに興味がある方には読み応えがあるかと。

ADHDのワーキングメモリ・リハビリテーション

まずは、自分のためのADHDの勉強から。ワーキングメモリは後半に解説。ADHDのリハビリ系のトレーニングから説明していきます。

ニューロフィードバック

ニューロフィードバックは、ADHDだけに限らず、うつ病や発達障害、さらにはスポーツなんかの分野でも活用が期待されています。

これまでの内容からだと、発達障害は「脳や神経の発達不全によるシステムの異常」ということになりそうなのですが、これだといくら本人が気をつけようが「そもそも備わっていない機能」であり、一般的な努力などでは解決しない、ということになります。

そのため、「別の角度からのアプローチで、専門のトレーニングをして一般的な活動ができるようになる」という方法か、あるいはもう少し根本的に、「脳・神経の機能不全が起きているところにアクションを起こす」ことが治療となりうると考えられます。

薬物療法では、神経伝達物質を刺激して一般的な人と同じような集中力を再現したりしますが、神経系に働きかける薬は、副作用が強く、飲み心地がイマイチだったりします。

そこで、ニューロフィードバックのような「一定期間の効果が期待できる」治療で、かつ「行動の改善ではなくシステム不全を起こしている神経回路を調整」することができるという点で、これまでよりも高いレベルでの治療効果が期待されています。

ニューロフィードバックとは

勢いで「すごいよニューロフィードバック」的なことを書いてしまいましたが、実際にはまだまだ研究段階です。私に至っては、「最先端のうつ病治療」なんかの情報としてうっすら知っている程度でしたが、ADHDの治療分野として活性化している模様。

ニューロフィードバック(英:Neurofeedback)とは、脳波計とコンピューターと電極を用いるなどして脳波の周波数(要するに脳の活動)の調整を行うバイオフィードバックの一種。スポーツや音楽の能力向上を狙って用いられているほか、自費診療となるが精神医療にも用いられている。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

気になるのが、ニューロフィードバックではどんな治療に役立てられているか、というところです。

治療の基本

バイオフィードバックの背景には,Miller&DiCara(1967)が,ラットを用いて心拍数を変動させる学習が可能であることを示し,本来意識下にある自律神経系の意図的な変化が可能

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

先ほど、バイオフィードバックの一種だとWikipediaさんが教えてくれたのですが、要は脳波の周波数を頭の外から調整しても、生体に変化を起こすことができますよ、ということみたいです。SF好きとしては、電波で人間を操ることを妄想してしまいますが、なんらかの干渉は可能ということで。

使われる装置

当時,NFはEEGで行われることがほとんどであったが,測定装置や解析方法の改良が進み,現在では機能的核磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)や近赤外線分光法(Near Infrared Spectroscopy: NIRS)を用いた脳機能計測装置でもNFを行うことが可能である

RinsyoShinrigakuKenkyu_15_1_Mitsuyama.pdf

基本的には、EEG(脳波測定)で行っているようですが、医療機器の進歩によりfMRIやNIRSも活用できるとのことです。

ADHD治療の効果

ちょっと専門的すぎるので、私もわかりませんね。論文原本を読んでみてください。ただ、治療効果はみられたと考えられています。

ADHD児は、健常児に比べて、周波数の高いβ波が少なく、周波数の低いθ波が多いという報告や頭皮上緩電位(slowcorticalpotentials:SCPs)の異常性が認められるとする報告がある16)。θ波を減らし、β波を増やす、またはSCPsを正や負の方向へ電位をシフトさせるといった脳波のトレーニングを行うことによって、ADHDのセルフコントロール能力を高めようという試みが行われている

http://www2.lib.yamagata-u.ac.jp/kiyou/kiyoued/kiyoued-15-1/image/kiyoued-15-1-067to084.pdf

ADHDである子どもの親による症状評価は,すべての症状が統制群に比べて訓練群のほうが有意に改善しており,教師による評価は,注意欠陥のみが有意に改善していた。このメタ解析研究から,ADHDに対するEEGを用いたNFには治療効果があると考えられる。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ADHDでは、なぜか古くからこのニューロフィードバックによる治療効果が期待されており、研究数もそれなりにあるとのことです。一定の効果はあげられているようですが、信憑性のあるデータとまでは言えない研究が多いということもあり、まだまだ研究段階といったところ。

ぶっさん
ぶっさん

方法や対象者の属性がバラバラで、「本当に治療の効果なの?」と疑問視されるような研究が多いようです。

NF研究結果の信憑性が疑わしい理由
  • 対照実験の不足
  • 適切な長期フォローアップの欠如
  • 少ないサンプル数などの科学的根拠の乏しさの問題

方法論の問題としては、統制群の設定、被験者の割り当て、トレーニング効果の評価方法、同時併用する治療法との交絡、ADHDサブタイプの考慮、眼球運動によるアーチファクトおよび統計処理の問題などが挙げられている3)。また、再現性の問題としては、被験者の個人差、ニューロフィードバック装置や効果の評価方法の違い、脳波の評価方法の違い、統計解析の違いなどにより、効果の評価が一貫していないことが上げられている。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

ちなみに、ASD(自閉スペクトラム)においては、症状の改善までは確認されていないようですが、認知柔軟性だけは有意な改善が見られたとのこと。

SCP訓練とは

日本国内では、国立精神神経医療研究センターがADHD児の注意欠陥に対するNFの効果についての研究を発表しています。

このニューロフィードバックで行われたのが、SCP訓練というものです。目的としては、脳活動の抑制するようなゆったりとした脳波に調整し、集中力を高められないか、というもの。

SCP訓練は注意の集中とリラックスとの制御を目的としたNF訓練である。SCPとはその名の通り、0.5Hz以下のゆっくりとした脳波である。陰性方向のSCPは脳活動の抑制につながり、結果的に、注意の集中に関与することが指摘されている。したがって、陰性方向のSCP振幅を上昇させるネガティブ条件と陽性方向のSCP振幅を上昇させるポジティブ条件をランダムに提示することで、ADHD児が両者の切り替えを制御できるようになることを目指している。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku/16/3+4/16_179/_pdf/-char/ja

ADHD児を対象としたSCP訓練効果の検証

研究結果では、SCP訓練は一定の効果が見られたと解釈できるようです。

注意機能を改善する認知トレーニング

この辺りは、既にトレーニングプログラムとして売り出されていそうな勢い。キリがないので羅列だけ。

Self-Alert Training

ADHD群を含む訓練群では自己の覚醒レベルを調整できるようになり,SART(Sustained Attention to Response Task)での持続的注意の得点が上がったが,プラセボ群ではそうした効果は見られなかった。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf
ATTENTIONER
Pay Attention !

衝動性を抑える

ADHDにおける衝動性は前頭葉―線条体システム,とりわけ右前頭前野と側坐核が関与しており,Atmoxetineや methylphenidate などのADHD治療薬はこれらの部位に作用することで衝動性の抑制に一定の効果がある,と考えられている(石川,2010)。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

何度かADHDと脳の活動については勉強しましたが、アトモキセチンやメチルフェニデートなどの薬の作用から、なんとなく衝動性に効果がありそうなことを割り出しています。

ワーキングメモリに対するリハビリテーション

Cogmed社(米国)は,Klingbergも所属するカロリンスカ大学からの基金をもとに創設された企業で,ワーキングメモリトレーニングによってADHDの注意障害や脳梗塞における認知機能の改善にも効果があると,そのホームページでうたっている。コグメドジャパン(株)という日本法人もあり,トレーニングプログラムの概要は,そのHPでも紹介されている。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

前の記事でも紹介しましたが、コグメドジャパンは既にトレーニングプログラムを販売しています。

遂行機能に対するアプローチ

遂行機能は、「抑制,プランニング,セットシフト,ワーキングメモリ,言語の流暢性」など5項目からなる遂行機能検査で測定可能です。

著者自身は,薬物治療が奏功して不注意や衝動性が改善されると,一見,遂行機能障害と思われていた行動が消失する事実を日常臨床のなかで数多く経験しているので,ADHDに遂行機能障害は認めないとするScheresやGeurtsの意見に納得できる。

http://reha.cognition.jp/pdf/2011/reha2011_02.pdf

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