私はもう看護師ではありませんが、看護師時代に副業(のつもりではなかったのですが、結果として収益が発生したので)を始めました。月の収益が看護師の給料とどっこいになったくらいで離職し、今では子育てをしながら在宅でライターとして働いています。

ブログ収益だけだと心許ないけど、ライターの執筆料も合わせると「生活はできる」くらいの収入にはなります。
とはいえ、看護師というおそらく将来食いっぱぐれないであろう職業をしながら、果たして副業をする必要はあるのか。私の副業経験からお答えしようと思います。
副業OKの流れがむしろつらい
2017年から始まった「働き方改革」ですが、副業も「原則OK」のなかで、会社規則に合わせて隙間時間に働くことができるようになりました。

えっ、うちの病院、いまだに原則禁止だけど?
私が仕事を辞める理由の一つに「少し稼ぎ過ぎて副業でお咎めを受ける」可能性があったのもあります。
うちの病院の場合、「副業は申し出ればOK」という規則はあるのですが、この副業が想定しているのは「専門看護師が、講義や研究発表会で手伝う」ためにある規則でした。

つまり、あくまでも看護師として働くけど、他のところから謝礼が出るときは必ず申告しろよ、という意味合いのものです。
看護師は副業してはいけない?
看護師の副業を禁じる規則はありません。ですが、以下の2パターンは注意が必要。
公務員の副業は禁止
2018年に公務員であっても副業は解禁されました。しかし、自治体の規則により禁じられているところも少なくはありません。
公務員が副業を禁止する理由
- 信用失墜行為の禁止
- 守秘義務
- 職務専念の義務
公務員看護師でも一般的にはできるとされる副業
- 一定規模以下の農業
- 一定規模以下の家賃収入やガレージ収入など
- 所轄庁の長などの承認があった場合
就業規則で禁止されている
公務員が副業を禁じるのと同じ理由で、就業規則で禁止する病院もあります。あるいは、許可のような文面でも、「院長の承諾のもと」などの一文を添えて、実態としては禁止している場合も。
患者情報を守る
看護師の場合、自身の病院での看護ケアの際に、患者の個人情報を知る立場にあります。看護の倫理綱領をはじめとして、看護師が公の場で患者の情報を話したり、することは法律でも禁止されています。
副業などで他の施設での業務を許可すると、うっかり他の職場で個人情報を漏洩してしまうリスクがあります。
本業への影響を考慮
散々サービス残業させておいて、この建前を、とも思うのですが。
看護師の業務は患者の命に関わるものです。副業に精を出して生活のリズムが崩れることで、インシデントを起こす可能性もあります。
医者は副業にゆるい
同じ医療職でも医者の副業に対してはゆるい。というか、医者の場合は貴重なリソースとして、「本の執筆」であったり、他病院への出向であったり、テレビ出演だったり、地域での医療講義だったり。
医者は、地域の大事な「先生」として、ひとつの病院の人材として縛りつけるのはもったいない、ありがたがられる神様のような存在です。

いやいや、それ、看護師も一緒じゃん! コメディカルですけど、医療の専門知識を持って、社会貢献してますよ!
そう思うのは私だけかもしれませんが、副業禁止について病院と戦うのも面倒ですし、収入もあったのでスパンとやめました。
副業って、しないとダメなの?
病院ではあまり感じないかもしれませんが、世の中はだいぶ副業に引っ張られ始めています。公に「副業してるんだぜ」という声はあまり聞きませんが、副業でチマチマ稼いでいるという話は、看護師界隈でも耳にするようになりました。

看護師は給料いいから、副業しなくても生活には困らないんだけどな。
この考えだと、将来、少し痛い目に遭いそうです。
コロナウィルスで痛感した副業という「担保」
コロナウイルスで「在宅勤務」やら「テレワーク」の必要性が叫ばれたのもひとつの要因。意外と在宅で働ける、しかも在宅ワーク中に子供の様子も見れる。

大変な被害がありましたが、働き方を見直すきっかけにはなった出来事でした。
加えて、業務禁止や輸入制限、市中感染を広げないために不要不急の外出を控えたことで、経済に与えた影響が大きかったのですが、「ひとつの仕事をしっかりとこなしているだけでは、何かあったときに収入が完全に途絶える」と言ったことも痛感した次第です。
副業ワーカーに本業を奪われる
これは看護師としてはあまり実感がないと思いますが、他の業界では少しずつ副業者たちに仕事を奪われています。
企業が副業者と仕事をしたがる理由
- 正社員を雇用するリスクを減らせる
- 短期的に必要なマンパワーを確保しやすい
- 副業にも力を入れられる人材は、「優秀」であることが多い
- マンネリ業務を見直す新しい風を取り入れたい
- 他の会社・企業・団体とのつながりを持つ
- ギグワーカーに安く業務を外注できる

もちろん、私はペーペーの看護師でした。副業としてやってた仕事も、ライターで下請けの下請けみたいなブログ記事やキュレーションサイトの記事の下調べ、みたいなことをしてました。
本業の会社が、社員に副業されると困ること
ただ、自社の社員にやって欲しいかというと、悩ましいところもある。
- 本業が疎かになる
- 会社の情報・スキルが持ち出される
- 給与算出が面倒になる
- サービス残業させづらくなる
- 優秀な人材の引き抜き・本人が他社の魅力に気付いて仕事を辞める
- 雇用による会社と従業員の関係が希薄になる

私が社長だとしても、外からの副業ワーカーは受入はするけど、自分のところからは出したくないですね。看護師なら、引き抜き合戦になりそう。

副業によって、明確に「時間がお金」に変わります。個人の時間の価値が高まるので、これまでのように「サービス残業」なんて絶対にしなくなりますしね。そんな時間があるなら、副業で自分で稼ぐから。

飲み会とかの、無駄な時間も浪費したくなくなるので、会社内での関係は希薄になるということはありそう。
看護師の副業について

そういえば、友達の看護師も、時間あるときはコスプレ喫茶で接客してたなぁ。病院の制服を持ち出して、メルカリで出品して怒られた子もいたなぁ。
少し意味合いが逸れそうですが、看護師が看護師という資格やパーソナリティを活用して復業するのは大変メリットのあることだと私は思います。
看護師が副業をする必要性
まずは看護師が副業をする必要性について。ざっくり説明すると、以下の通り。
ぱっと書いたら思ったよりも要因が多かったので、書きたいところから書いていきます。
看護師は健康が資本
看護師は、体が資本です。メンタルも削られがちですが、体が動かないと仕事ができません。五体満足でいることが大前提ですが、果たして、いつまで健康でいられるでしょうか。そう考えたときに、看護師で働くことは必ずしも「安定」ではないと気づかされます。

体の問題もありますが、メンタルがおられて働けなるくなる看護師も多いよね。お局みたいに、タフで鈍感な精神がないと、やっぱり長く続かない。
看護師が副業する必要性としては、まず、「病院に頼らずに収入を得る」ことが大事だと考えます。
障害があっても看護師で働ける?
うつ病になった看護師は多く知っています。例えば、保助看法では、心身の健康が資格付与の条件だったりします。
第九条 次の各号のいずれかに該当する者には、前二条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。一 罰金以上の刑に処せられた者二 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者三 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの四 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
しかし、基本的には障害を理由に雇用を失うことはありません。できる仕事を変えて対応します。

ですが、働き方が大きく変わるのと、「雑務」ばかりが押し付けられる仕事に配置換えされて、最終的には辞めちゃう、なんてケースもよく聞くね。
多くの看護師は職を失う
これは20年後くらいだと思うので、40代以上の看護師はそのまま逃げ切って定年を迎えてください。しかし、今、看護学生であるかた、20代の看護師のかたは、時代の波に捕まります。
AIと看護師についての記事にも書きましたが、看護師などの医療職に関しては、AIに直接仕事を奪われる、という事態になるのは考えづらいです。ですが、看護師の必要数は大きく変化します。

高齢者は増えるけど、病院での療養の必要性は薄れて必要数は減るし、さらに日本人よりも優秀な海外人材が流れてくるので、呑気に胡座かいてると寝首かかれるやつ。
将来必要なお金は増える
老後の貯蓄は2,000万円必要と言われて世間がざわつきましたが、リスクに備えるのは、安心して歳を取るためには絶対不可欠です。
働き方改革って、つまりは自己責任
わかりづらい部分もあったかとは思いますが、「働き方改革」ってのはつまり「自分の身は自分で守れよ」っていう改革なんです。
年金に頼らず、自活できる体制を作ろうという。
ただ、できる人は今まで以上に稼ぎ、できない人が大幅に損するのが、未来の働き方。政府はサポートしてくれるとは思うけど、それって言い換えると、看護師など普通に働ける人たちが「誰かを支える」ことが多くなるということです。
将来必要なお金はどうやって貯める?
仮に2,000万円必要なら、30歳から5.5万円積み立てていけば2,000万円はたまります。でも、看護師で働いていて、5.5万円余分に積立できるでしょうか?
最低でも、今の貯蓄にプラスして積立できるくらいの収入が必要になるということです。

ちなみに、私の見立てだと数年後には、5,000万円とかいうとんでもない数字が「老後必要貯蓄額」になると思います。
看護師が副業をするメリット
簡単ですが、副業のメリットをまとめておきます。心のメモにでも留めておいてください。
- 収入が増える
- 病院に縛られない生き方ができる
- 働き方の幅が広がる
- 老後も稼げる手段を作る
- 人生に彩りを添える
- 看護師ではない自分の価値を高める
- 世間を知ることができる
- 副業で学んだ知識・スキルを本業にも活かせる
看護師は常識に疎いところがあるので、医療業界ではない一般的な社会で働いてみるのは、自分を高めるいい経験になります。
副業で自ら学んだ知識やスキルは腐らない
定年がなくなることを考えると、「どういう仕事なら60代以降もパフォーマンスを維持できるか」というのは大事な視点だと思います。
終身雇用がなくなり、働き方が自由になると、「労働」に対する対価を正当に評価して賃金に反映させる必要性が高まります。

働いた分の報酬がなければ、違う職場で評価された方がいいからね
これは、突き詰めると「歳をとって生産性が落ちると賃金が落ちる」ということを意味しています。
歳をとっても収入を維持する準備を
もちろん、ベテラン看護師ならではのアセスメントや危機回避、リスク判断、患者対応などを評価して「高い看護師スキルに見合う報酬」を得ることも可能です。
ですが、まず、そういった「ベテランならでは」の予測の面は「AI」が補ってくれる可能性があるのと、若手との関係性を考えて病棟の雰囲気を保つためなら、私ならベテラン(お局)を切ります。
しかし、ベテラン看護師を採用したい職場はたくさんあると思います。この「一線を退いた年齢での再雇用」の時に、自分の価値を高めてくれるのは、看護師としての経験に合わせて副業で得た知識やスキルであると思います。

私はライターやってるのは、60過ぎてもペースを落とさずに仕事できるのと、知識を深めることができる体験に病みつきだから。

小児科経験あれば保育園や学童などもいいと思うし、精神科ならネットカウンセリングなど、自分の経験を生かした老後の自身の活用方法を意識しておくのも大事かも。
看護師が副業をやるデメリット
ついでに、デメリットも。
- 病院から睨まれる
- 同僚にたかられる・白い目で見られる
- 確定申告が面倒
- 休日が減る
- 仕事(副業)してないと落ち着かなくなる
- 病院での残業がバカらしくなる
- 暇な夜勤中は副業しちゃう

本業あっての副業なので、看護師としての評価を落としては本末転倒です!
看護師にできる副業例
私の経験だけでは補いきれないので、多少、他のサイトも参考にしつつ。あまりアフィアフィ(広告)し過ぎない程度にご紹介します。
看護師としてのアルバイトを軸に
あくまでも、看護資格を生かして看護師として副業する場合は、雇用の問題もありアルバイトになっちゃう。
看護師バイトの一例
- 訪問看護・訪問入浴
- 献血スタッフ
- イベントの救護室補佐
- ツアーナース
- 検診補助

この辺りは、私より詳しい人がいると思うので説明はしませんが、病棟には縛られない働き方ができるのはいいですね。
看護師にできる副業
次に、看護師という職業でも相性の良い「副収入」を得ることができるものを考えてみました。
看護師の副収入のための諸条件
先に、考えておかなければいけないのは、「看護師の職業上の特性」について。看護師と副業は、意外と相性がいいんですよね。
- 交代制勤務で「休日」は確保されている
- 土日・平日に縛られない(逆に、固定した曜日に縛られる働き方はできない)
- 夜でも働ける(時間外のメリット)
- 医療の専門性は需要あり(ただし求められるのは医師免許)
- 病院で「いろいろやらされた」経験は必ず活かせる
看護師でも「医療」の需要はあるの?
これは、自分の売り出し方次第ですね。病気の説明や治療法については、医者の方が箔が付くし、知識においても医師資格の方が証明しやすい。(看護師でも詳しい人はいるにせよ)
ただ、日常生活での「病気との付き合い方」は、看護師の方が実態に沿った説明や管理方法を提案できると思います。また、子育てや生活歴との掛け算で「相手の需要を満たす」プレゼンができるかどうかがポイント。

自分が、相手の「やってほしいこと」に対して、報酬に見合うサービスを提供できれば、それがビジネスになるし、お仕事になるってことですね。
看護師副業リスト
あとは、気になったものを選ぶだけ。
- 治験
- チャットレディー・ライブ配信
- 医療ライター
- Webクリエイター(イラスト作成など)、ディレクター業務(YouTubeなど)
- 個人・通信塾での看護学生への指導
- レポート代行
- ベビー・キッズシッター、送迎サービス
看護学生や新人看護師も営業対象
副業の需要が高まると、これまでになかった仕事がどんどんと増えていきます。これまでは仕事となり得なかったものでも、今は謝礼をもらって「仕事」にできる時代になりました。

例えば看護学生・新人看護師のサポートなんかも収入に変えられます。
看護学生のときにつらかった、レポート提出。今は宿題の代行でもお金が稼げます。せっかくの看護師経験なので、看護学生のために活かすのもいい方法だと思います。アプローチとしては、ヤフオクなどでレポートとして出品してもいいのですが、スキルをうることができる「ココナラ」というサービスを利用することもできます。



また、自分を売り出すために、Twitterなどでサポートしてもらいたい看護学生を募ってもいいですね。
いろいろな付加価値がつけられると思いますが、学校の先生に上手に聞けずに困っている学生もいます。
そう言った子たちに、自分たちが実習では学べなかったアセスメントの方法などを丁寧に指導すれば、料金を支払うに値するサービスになると思います。
YouTubeなどのコンテンツ制作のサポート
これは看護師に限らず、いろいろな副業に手を出すならやっておいてもいいと思います。これまでなら、例えば認定・専門看護師などで世間に認められるような功績があれば、テレビ出演などを副業とすることもできました、、、が、そんなのは実に一握り。
YouTubeなら、マスメディアとの契約ではなく、自分らしいコンテンツを、自分たちの届けたい相手に向けて制作することができます。先の「看護学生向けの学習チャンネル」でもいいですし、コロナウィルスなんかの時に「感染管理の専門である看護師が教える、正しい手洗い」なんて番組を作っても臨時収入になります。
こう言った露出は、最終的にマスメディアでも取り上げられて、あなたの価値を大きく変化させることもあるかもしれません。

番組に出演するのではなく、監修としてディレクター業務を行うのも今後のトレンドになりそう。
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