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こども誰でも通園制度で保育士の負担は増える?人員配置・安全管理・現場課題を検証

2026年度から全国実施となった「こども誰でも通園制度」は、未就園児が家庭以外の人や環境と関わる機会をつくる制度です。一方で、現場から見ると「短時間利用なら通常保育より負担は軽いのか」「初めて会う子を安全に預かるために何が増えるのか」という疑問があります。

結論から言うと、短時間利用だから現場負担も小さいとは限りません。利用する子どもや時間帯が日ごとに変わる制度では、初回面談、当日の健康確認、環境への慣れ、職員間の引き継ぎなどを何度も丁寧に行う必要があります。

ただし、「負担がある」ことと「危険な制度である」ことは同じではありません。2026年度には人員配置基準、研修、事前・事後面談、初回対応加算などの仕組みも整備されています。この記事では、2026年10月時点の公的資料をもとに、現場負担の中身と制度側の対策を分けて整理します。

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結論|短時間利用でも、現場負担が軽いとは限らない

こども家庭庁が令和6年度の試行的事業をもとに行った調査では、自治体側の課題として「保育者の確保」81.6%が最も多く挙げられました。保育者向けアンケートでも、制度特有の難しさが複数報告されています。

試行事業で挙げられた課題回答割合
こどもが環境に慣れることが難しい59.7%
情報量が少なく、こどもの様子や特性を把握しにくい55.0%
通常保育を利用するこどもの対応が手薄になる35.5%
日々の業務負担が増える24.7%
試行事業のこどもの安全確保等が難しい21.5%

ここで注意したいのは、これらは本格実施後の2026年度全国値ではなく、試行事業に参加した現場の回答だという点です。負担感の有無を示す参考にはなりますが、「全国実施で事故が増えた」「すべての園で通常保育が手薄になった」と読み替えることはできません。

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人員配置はどうなっている?一般型の基準を確認

2026年度の一般型乳児等通園支援事業では、利用するこどもの年齢に応じて配置基準が定められています。

年齢従事者の配置基準
乳児おおむね3人につき1人
満1歳以上満3歳未満おおむね6人につき1人

さらに一般型では、従事者の半数以上を保育士とし、原則として事業所につき2人以上を配置する考え方が示されています。こどもとの安定的・継続的な関わりを確保する観点から、短時間・単発の人材だけを常態的な人員確保に充てることも基本的には望ましくないとされています。

また、職員配置の基準は「平均して満たせばよい」というものではなく、事業を実施している時点で適切に満たす必要があります。つまり、予約の入り方や送迎時間が変わる日でも、必要な人員を確保できる勤務シフトが前提になります。

一方で、配置基準を満たしていることと、現場に十分な余裕があることは別問題です。初回対応や泣きへの対応、食事・午睡の見守り、保護者への説明などが重なると、最低基準を満たしていても負担感が大きくなることはあり得ます。

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誰でも通園ならではの負担は「初めまして」が繰り返されること

こども誰でも通園制度で情報確認から引き継ぎまで繰り返される現場業務を4段階で示した図

通常保育では、同じこどもと継続的に関わる中で、「眠くなる時間」「苦手な食感」「不安が強くなる場面」「落ち着きやすい声かけ」などの情報が少しずつ蓄積されていきます。

誰でも通園では、定期利用のこどももいれば、柔軟利用で利用日が空くこどももいます。利用するこどもや時間帯が日によって変わるため、受け入れと引き渡しも一日のさまざまな時間帯に発生します。

そのたびに、保育者は当日の体調や機嫌を確認し、保護者と離れる時の反応を見ながら、安心できる人や遊びを探します。利用間隔が空けば、前回は慣れていても再び緊張することがあります。

勤務シフトと職員間の情報共有を、通常保育以上に意識して設計する必要があります。担当者が途中で交代する場合でも、食事量、排泄、午睡、けが、気分の変化などを次の職員や保護者へ正確に引き継げる仕組みが重要です。

このため、誰でも通園の負担は単純に「保育時間×人数」だけでは測れません。短時間でも、情報確認→受け入れ→関係づくり→引き継ぎを繰り返すこと自体が制度特有の仕事になります。

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事前面談と情報共有はなぜ重要?

2026年度の手引では、初回利用前に事前面談を行い、こどもの状態や家庭での様子を把握することが基本になっています。つうえんポータルなどに情報が登録されていても、実際の保育では対面で確認した方がよい内容があります。

タイミング確認したい主な内容
利用前アレルギー、既往歴、健康状態、生活リズム、食事、排泄、睡眠、かかりつけ医など
利用当日発熱や体調変化、睡眠・食事状況、服薬の有無、送迎者、家庭での変化など
利用後保育中の様子、食事・排泄・睡眠、気になった行動、次回に引き継ぎたいこと
保護者と保育者が幼児の健康状態や生活リズムを確認する事前面談のイメージ

こども家庭庁の事例集には、事前面談を1時間程度見込み、保育士・看護師・栄養士などで対応している事例も紹介されています。これは全国一律に「1時間面談しなければならない」という意味ではありませんが、初回利用前の情報収集に一定の業務が必要になることを示しています。

とくに低年齢児では、本人が不調や違和感を言葉で説明できません。アレルギーや既往歴だけでなく、「いつもと違う」を判断するための生活リズムや普段の様子も、安全管理に必要な情報になります。

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通常保育のこどもへのしわ寄せは起きる?

試行事業の保育者アンケートでは、「通常保育を利用しているこどもの対応が手薄になる」35.5%、「日々の業務の負担が増える」24.7%という回答がありました。自治体側の調査でも、本体事業とのバランスを課題に挙げる回答がみられています。

ただし、これも試行段階の回答であり、全国の保育所で同じ影響が起きていることを示す数字ではありません。運営方法によって負担の出方は大きく変わります。

  • 誰でも通園専用の職員・スペースを確保する
  • 通常保育のピーク時間と受け入れ時間をずらす
  • 予約可能人数を勤務シフトに合わせて調整する
  • 在園児と合同保育する時間と、落ち着いて個別対応する時間を分ける
  • 担当者だけに情報を抱え込ませず、記録と申し送りを標準化する

重要なのは、「誰でも通園を追加したのだから、今までの体制のまま同じ仕事量で回せる」と考えないことです。新しい利用児を受け入れる業務量を見込んで、予約枠や勤務シフトを設計する必要があります。

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安全管理で注意したいのは何?事故が増えたとは言える?

0歳6か月から3歳未満のこどもでは、午睡中の呼吸状態、食事中の窒息や誤嚥、アレルギー、転倒、かみつきなど、通常の乳幼児保育でも継続的な観察が必要です。誰でも通園では、そこに「まだ普段の様子を十分に知らない」という条件が加わります。

2026年度の手引でも、事故防止マニュアル、安全点検、安全計画、職員間の情報共有、午睡時や食事中など重大事故が起こりやすい場面を想定した実践的な研修が求められています。

試行事業の保育者アンケートでは「安全の確保等が難しい」が21.5%でしたが、これは保育者が感じた課題の割合です。この数字だけで「誰でも通園では事故が21.5%起こる」「制度導入で事故が増えた」と解釈してはいけません。

こども家庭庁は教育・保育施設等の重大事故を集計していますが、現時点で、誰でも通園制度の導入前後を全国で比較して「事故が増えた」と判断できる制度別データは確認できません。安全性を評価するなら、今後は事故件数だけでなく、ヒヤリハット、受け入れ人数、利用時間なども含めて見る必要があります。

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制度側はどこまで対策している?

こども誰でも通園制度の人員配置、面談、研修、初回対応加算を整理した図

現場負担が想定されているからこそ、2026年度の制度には、配置基準以外にもいくつかの対策が組み込まれています。

現場の課題制度上の主な対策
初めて利用するこどもの情報が少ない事前面談、つうえんポータル、当日確認、事後面談
人員・経験を確保したい年齢別の配置基準、保育士割合、継続的な従事者確保
非保育士従事者の知識をそろえたい制度に対応した専門研修、経過措置対象者の習熟度確認
初回面談などに時間がかかる初回対応加算
こどもが環境に慣れにくい事業所によって親子通園を活用

2026年度には、事前面談と事後面談を評価する初回対応加算が設けられています。初回の情報把握を「通常業務のついで」にせず、制度上も一定の業務として評価する仕組みです。

非保育士の従事者にも、こども誰でも通園制度に対応した研修や習熟度確認の仕組みがあります。配置基準だけでなく、制度の目的や低年齢児への対応、安全管理を理解した人材を確保することが狙いです。

また、障害児、医療的ケア児、要支援家庭のこどもなどについては加算の仕組みがあります。ただし、個別の受け入れ可否や必要な医療・看護体制は別途確認が必要であり、この記事では制度全体の現場負担に焦点を絞ります。

こうした対策があることは重要ですが、制度上の対策が存在することと、すべての現場で負担が十分に吸収できていることは別です。実際に機能しているかは、本格実施後のデータで検証していく必要があります。

制度の仕組みだけでなく、保育者が留意したい点や実践園の取り組みまでまとめて確認したい方には、秋田喜代美編集代表の『よくわかる!「こども誰でも通園制度」』も参考資料の候補になります。

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本格実施後に何を見れば「無理のない制度」と評価できる?

制度の評価では、「利用者が増えた」「実施施設が増えた」だけでなく、現場の持続可能性を見る指標が必要です。

見たい指標分かること
受け入れ辞退・予約枠不足制度上の需要に対して人員・設備が足りているか
職員の残業・欠勤・離職現場負担が人材流出につながっていないか
事故・ヒヤリハット安全対策が実際に機能しているか
通常保育への影響在園児へのしわ寄せが起きていないか
面談・情報共有に要する時間初回対応に必要な業務量が適切に評価されているか
継続利用・親子の適応こどもが無理なく通える運用になっているか

特に重要なのは、試行事業の負担感をそのまま2026年度の結論にしないことです。全国実施後の実績が蓄積されれば、人員配置や公定価格、予約枠、研修内容を見直す材料になります。

「利用できる場所がある」だけでなく、こども・保護者・保育者の三者に無理がない形で続けられるかまで見て、制度を評価していく必要があります。

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まとめ|現場負担の正体は人手不足だけではない

こども誰でも通園制度では、短時間利用であっても、利用するこどもや時間帯が変わるたびに、情報確認、環境への適応支援、健康観察、職員間の引き継ぎが必要になります。試行事業で人材確保や情報不足、通常保育への影響が課題として挙がったのは、この制度特有の運用と無関係ではありません。

一方、2026年度は年齢別の人員配置基準、事前・事後面談、研修、初回対応加算なども整備されています。したがって、現時点で「危険だからやめるべき」「対策済みだから問題ない」のどちらかに決めつけるのは早いでしょう。

今後は、利用者数だけでなく、職員の負担、事故・ヒヤリハット、通常保育への影響まで含めて検証することが、制度を長く続けるために重要です。

参考にした公的情報

こども誰でも通園制度の現場負担と制度側の対策をまとめたインフォグラフィック

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