
私は発達障害があるのですが、症状のひとつに「音は聞き取れるが意味が拾えない」というものがあります。
私の場合はAPDについては確定診断ではないので障害を体験として語るには足りないかと思いますが。「APD」という「音は聞こえるけど聞き取れない」という聴覚障害があることをお伝えしたく、記事としてまとめています。
APDの基本
まずはAPDの基本的な情報です。
APDとは
聴覚情報処理障害(ちょうかくじょうほうしょりしょうがい、英: Auditory Processing disorder, APD)とは、聴力は充分にあって可聴音は聞こえているものの、脳に機能障害が存在するために、特定の条件での聞こえにくさを呈したり、聞こえた音の解釈に問題が生じる状態。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%B4%E8%A6%9A%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%87%A6%E7%90%86%E9%9A%9C%E5%AE%B3
Wikiの説明だと少しややこしいのですが、簡単に説明すると「耳は正常でも、聞こえてきた音についての処理をできない」状態になる障害です。

耳の検査をしても「異常なし」になるのが特徴ですね。
APDの特徴
APDには、次のような特徴があります。
- 言葉が聞き取りづらい
- 騒音があると聞き取れない
- 複数人での会話が苦手
- 相手の話すスピードについていけない
- 会話の集中力が継続しない
- 電話だと聞き取りづらい
- テレビは字幕がないとわからない
https://apd-community.jimdofree.com
音声の情報処理が苦手
いろいろ書きましたが、音としての認識はできているのに、「言葉」や「音声」としての意味合いが掴めないのが特徴的な症状だと言えます。

相手が話しかけているのはわかるんだけど、口だけ動いているように見えることがあるよね
この「音の意味付け」がうまくできない原因は様々です。聴覚には異常がないため、「勘違い」などで済まされてきたのですが、同じような症状で困っている人はたくさんいます。
APDの原因
先に述べたように、APDは聴覚には異常はありません。しかし、以下のような状況下では「音声処理ができない状態」になりやすいと考えられています。
- 注意欠陥障害(ADHD)
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 認知機能の低下
- 不眠
- 心理的ストレス負荷
ただ、これらはあくまでも要因のひとつであり、発達障害や体調だけでは語れないのがAPDだと思います。
認知の問題
認知というと、どうしても認知症で記憶の問題と思ってしまいそうですが、認知というのは割と幅広い意味合いを持っています。
発達障害とAPDの関連
私自身がADHDという発達障害なのですが、Twitterなどの情報を見ると、ADHDのかたは「聞こえづらさ」という症状を持っている方が多いようです。
もしかしたら関連があるのではないかと思い、調べてみました。
ADHDとは区別されるべき
私はADHDの確定診断を受けています。この場合、APDとは異なる「聞き取りの問題」が生じるので確認しておくべきかと思います。
注意力による「聞き取り」問題
ADHDは注意力・集中力の障害です。ADHD患者が「聞き取りにくさ」を感じた場合は、聞き取れている音をどこまで理解できているのかを確認していく必要があります。
聴覚情報処理が苦手
ADHDなど発達障害の場合、情報についても「視覚優位」であることが多いとされています。
そのため、小児精神科病棟などでは、こどもへの注意事項などは「絵」や「図」を添えて掲示される場合がほとんどです。
https://toyokeizai.net/articles/-/128561?page=4

まぁ、様々な学習段階のこどもたちがいるからってのもあるけどね。

ADHDの場合はワーキングメモリが少ないから、いくら声を張り上げてガミガミ怒っても効果は薄い。声は短期記憶からこぼれ落ちて、実は頭にほとんど入ってないんだよね。
ASDと聞き取り
人の話し声から情報を拾う場合、「ただの音」を聞き取る以上にたくさんの情報が発信され、総合的に文脈を掴んで「相手の意図」を読み取る必要があります。
ASDの発達傾向がある場合、単語などは聞き取れているが、文脈や意図を読み解くのが苦手なことが多く、結果として「意味が伝わっていない」ということがあります。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/50/3/50_3_173/_pdf
睡眠障害と聞き取り
これは集中力の問題の方が濃いような気もしますが、睡眠不足だと聞き取りが悪くなるという話は聞きます。
https://www.ledex.co.jp/mailmag/20180406
APDの診断前チェック
APDについて専門的に治療を行う病院はまだまだ少ないのが現状です。場合によっては、お住まいの地域には診断を行える病院はまだないかもしれません。
まずは、APDの特徴を自分が持っているかどうかをチェックできればと思います。
APDチェックリスト(簡易)
APDでも生きやすくなるために
周囲が協力できること
- 情報伝達は「メモ」など視覚情報も加える
- ハキハキと話す
- 騒音のない環境で伝える
- 聞き返してもいい雰囲気をつくる
- 1対1で話す
本人が工夫できること
- ボイスレコーダーを使用する
- 音声入力ツールで文字に起こす
- 騒音は避ける
- ノイズキャンセリングイヤホン
- メモを取る
メモを取ることは、相手がメモを取りやすいように話すスピードを落としてくれ、また、聞き取れなかった部分が明確になりやすいので、伝えている方も「ここまでは伝わっているな」ということが確認しやすくなるのでおすすめです。
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